哲学的なトリップとアーティスティックな経験をするゲームと銘打っているように，言語では困難な直観的に伝わる哲学の実践．３DCG空間を探索することによって得られる感覚そのものの芸術性を打ち出す野心．のっぺりとした３DCGのプリミティブ体と陰影が主要な造形要素の黒と白を基調としたギガストラクチャーに幽閉される経験．それは，具体的な脅威を超越した実存的不安の神秘をもたらす．３DCG空間は質感や陰影が不十分．自然がもつ曖昧性や複雑性，不規則性の人間的な趣がとことん欠落している人工的空間．物理世界とは絶対的に異なるアンリアルな世界の美学的可能性から，エモーショナルな面を引きだしている．その世界独自の一貫した法則が，アンリアルな世界にリアリティをもたらすのだろう．