一見無駄に見えるお金で手に入るもの

同じ商品やサービスを得るならば安い方が良いというのは、当然の心理だ。
では果たしてその比較対象たちは本当に同じなのか。安いほうが良いと言えるのだろうか。
それについて、考えたことや聞いた知識を纏めた文章。

イギリスのパブには入口が2つあったという噂

かつてのイギリスはしっかりとした階級社会で身分による区別が色々あったという話は良く知られているかもしれないが、そういったものの一つに飲み屋の入口が2つあったという噂が、日本にはある。その先では同じ酒が違う値段で販売されていたのだそう。

私が一番初めにこの話を聞いたのが岡田斗司夫の切り抜きだった気がする。これを書くにあたってほんとかよと思って調べてみると同じように訝しんでいる人がおり、事実は定かではない。

ただし入口2つの理由は非常に説得力のあるもので、「話の合うやつと酒が飲みたい」というものだ。なので事実かどうかは一旦隅においておく。

お金が十分にある階級の人にとっては、同じ酒により高い値段を払っても、話が合い、自分の望む雰囲気の場所で楽しみたいと思うのは分かる話だ。

逆に少しでも安く楽しみたい人にとっても有り難い制度で、上の階級の人たちが余分にお金を払ってくれてパブの経営を支えているからこそ、その安い値段で楽しむことができるのだ。まあそういう人達はそんな事考えずに「高い金をわざわざ払うなんて馬鹿だ」「気取った奴らが向こうに行ってくれて清々する」といったことしか考えてない可能性はあるが。

とはいえ同じ酒場が別の客層を相手にしたいから入口を2つ設けているだけであって、別の店がそれぞれ値段設定をすれば良いと考えれば日本にもこのすみ分けは当然ある。
階層?階級?の分断を生む以外は割とよくできた制度に思える。

サービスの質が良い可能性

値段の高い店は従業員に十分な報酬や投資をしている可能性がある。その結果従業員の心持ちが穏やかになり、広い心で対応してもらえるかもしれない。

通常サービスでは変化がなくても、なにか問題が起こったとき等は、その変化が顕著だろう。規則以外の気を利かせるなど個別の対応をするというのは気力を使う行為であり、心に余裕がないとできないものだ。
少し高めの値段は保険料のようなものとも考えられる。

勿論経営者側がぼったくってる可能性もある。

通常品と比べると高いコラボ商品

例えば、人気キャラクター(ポケモン、Vtuber、ワンピースなど)がパッケージに印刷されたチョコレート。当然、普通のチョコレートに比べて割高な可能性が高い。(著作権料や交渉等の人件費回収のため)
「(キャラになんの興味もなく)お菓子がほしい」のであれば買うのは馬鹿だが、そのキャラクターが好きで、開発元に資金(又は宣伝効果があるという実績)を送りたいなら、それは高めのお金を払う十分な理由になる。

お菓子に微塵も興味がないのにおまけ目的で大量に買う人(又は、そのような設計のおまけを用意する運営)というのは、アイドル握手券や人気投票の票をCDとして売り付ける商法を思い出してあまり良い気はしないが。

少し値段の高い店の治安が安定する話

これは反対側を眺めると分かり易いが、薄利多売で多くの客を捌く店は治安が悪くなりやすいのだ。

ゲームの中でモブに近いキャラが「同じ利益でも沢山の幸せを作る方が良い」(閃の軌跡、ベッキーの父親)という旨の発言をしていたが、それができるのであればたしかにそうで、そういった店は明らかに優良店なのである。商売敵を潰している可能性はあるが。
だがそこに迷惑客は現れる。

ネットで調べれば激安のスーパーでは治安が悪いと当然のように出てくるし(全てがそうではないだろうが)、非常に美味しそうなラーメンをお値打ちで出している店が迷惑客にやられたという話はたまに聞く話だ。店と他の客が喧嘩をしているだけなら野次馬で済むかもしれないが、自分が絡まれる可能性だって勿論ある。

地雷人物はコンプライアンス的な観点からそこまで良い仕事をしている可能性は低く、お金を沢山は持っていないと考えられるから安い店を利用しようとするのは当然で、その時目に入ったものを攻撃してしまうのはある種不可避の流れなのかもしれない。
そういった状況に出会いたくなければ、少し高い店に行くことで地雷人物をふるい落とす事ができるだろう。

チップ文化

日本にはない文化で海外だと必須のところもある文化だ。神社のお賽銭みたいなものであまり多く払うのが馬鹿馬鹿しいと思う気持ちも分からないではない。定額のサービスを少しでも安く受けるためチップをケチるという理屈が発生するのは、まあわかる。

だがお賽銭と明らかに違うのは、「サービスする側のやる気が変わる」という実利があることだ。能力や権限が高くなるわけではないので払いすぎても意味はないだろうが。
なのである程度までのチップはサービスに直結し、当然値段に見合ったサービスをしてもらえるだろう。

まとめ

何故こんなものを書こうかと思ったかというと、「この店は搾取してる」とか「あんな商品を買うやつは馬鹿」とかいう意見が気になったからだ。
義憤に駆られてのことかもしれないし、他の人が同じ思いをしないようにという良心もあるのだろう。

しかし人間は「正義を娯楽とする生態」を持っているので、本能に突き動かされての行動は相手を悪、自分を善と考えさせ、攻撃的になり、不必要なものまで攻撃してしまうことがある。(最近読んだ橘玲さんの本の影響を受けている)

こういった「正義の側に立てる」事例に出会ったとき、自分が本能に突き動かされていないかを一度立ち止まって考え直し、冷静になって行動することをおすすめする。

私は立ち止まるために、「このサービスにこの値段だと、自分は買わないが買う人がいるのに文句をつけるつもりはない。そしてもう二度とこない。」というスタンスを取っている。(自分が)値段に不釣り合いだと思うサービスを見つけると正義に駆られるかもしれないが、大衆にとって本当にそうなら自然淘汰で潰れてなくなるため貴方が頑張ることはなにもない。

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