はっさく

大学生/専攻:教育哲学/

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最近の記事

オムライス日記2 物を大事に

 目指す形ではないが、昨日に比べると成長したと思う。ザ・二回目の挑戦、という感じの出来栄えになった。こんなに二日目感のあふれるオムライスは、なかなか作れないのではないか?(自惚れ)  前回の反省を活かして今回は玉ねぎ・ベーコンを鍋で炒め、卵はフライパンで焼いた。これにより卵に一切の焦げ付きなく、美しい見た目(当社比)になった。しかし、それでもフライパンに卵が多少焼き付いてしまって、キレイなオムライスの形を作る事ができなかった。やはりフライパンに問題があるのか?買い換えた方が

    • オムライス日記1

       大学三年生の春。僕は、吸い込まれそうなほどに大きな虚無感を感じながら、代わり映えのない日々を送っていた。朝起きて、宅急便の荷物仕分けのバイトに行って、適当にアニメや映画を観て、昼寝して、夕方は塾講師のバイトに行って、家に帰って寝る。その繰り返し。やらなきゃいけないことはたくさんあって、本当は大学院入試の勉強をすべきだったし、英語だってもっとちゃんと勉強するべきだったし、本もたくさん読むべきだった、と思う。  けれど結局、「これだ!」と感じたあらゆる物に触れたとたん、中途半

      • 【アニメ鑑賞】BLUE GIANT  ~音×映像=∞~

        劇場アニメ『BLUE GIANT』を鑑賞した。 本作が人気漫画を原作にしていること、ストーリーが大変熱いこと、魅力的な登場人物たちのこと、劇中の演奏シーンにおける音楽が最高であることはもう言い尽くされているように思うので、 ぱっと見はあまり見かけなかった、演奏シーンにおける描写のことを中心に感想を述べてみたい。 とはいえ、わざわざそんな格好つけたことを書く以前の問題として、本作はド直球で面白く、熱く、感動する作品だった。特に物語終盤は、目頭が熱くなるのを禁じえなかった。

        • 【アニメ鑑賞】映画大好きポンポさん

          「ようこそ、夢と狂気の世界へ!」 先日、劇場アニメ『映画大好きポンポさん』を鑑賞した。 あらすじはこんな感じ。 主人公は、根暗で自身なし・目の輝きが全くないけれど映画が心から好きで、映像編集に抜群の腕を持つ主人公・ジーン青年。そんな彼がある日、上司である見た目は幼女、中身は超敏腕プロデューサーであるポンポさんから次回作の映画の監督を任されて……。 ピカイチのセンスと有能さを備えた、ハチャメチャでかわいらしいプロデューサー・ポンポさん。 女優を夢見つつも先の見えないバイト

        オムライス日記2 物を大事に

          【読書感想文】羊をめぐる冒険/村上春樹

          村上春樹の初期三部作の最後を締めくくる作品で、前2作品に比べると倍以上の文量がある。かなり読みごたえがあったし、読み終えた後の虚脱感は凄まじかった。 講義中に隠れて読み進めて、講義の途中で読了した。読んでいる間は講義の内容なんか全く頭に入らないが、読み終わってからも講義の内容が頭に全然入ってこなかった。教授の話がつまらないせいもあるし、この作品の読後感の巨大さのせいでもある。 かつて、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読み終えた時も、同じような気持ちになった。つまり、これですべ

          【読書感想文】羊をめぐる冒険/村上春樹

          【ジャズ鑑賞】薄暗い密林の奥で猿人が立ち上がる/チャールス・ミンガス《直立猿人》

          いま、私の手元に図書館で借りた『ジャズの名盤入門』(中山康樹、講談社新書、2005)がある。p.32で紹介されているのが、チャールス・ミンガスの《直立猿人》というアルバムである。紹介文には次のように書かれている。 「正しい初心者だけがジャズの真髄に近づける一枚」と。 不気味に迫る野生 さっそくYoutubeで聞いてみたのだが、いきなりドカンとやられてしまった。何だろう、この感じ・・・。そうだ、《ウルトラQのテーマ》に似ている、そう思った。暗がりの中から、何か不気味な存在

          【ジャズ鑑賞】薄暗い密林の奥で猿人が立ち上がる/チャールス・ミンガス《直立猿人》

          【読書感想文】1973年のピンボール/村上春樹

          私にとっては、これで2作目の村上春樹だ。前作『風の歌を聴け』に引き続いて青年の一時期を描いた本作は、前作とはまた少し違った味わいだった。 本作についてまず言えるのは、その語りの視点が独特であることだ。『風の歌を聴け』では主人公は「僕」で、物語は「僕」の一人称視点で進んでいた。ところが本作では主人公が「僕」と「鼠」の2人になったうえに、「僕」のパートでは「僕」の一人称視点で、「鼠」のパートでは三人称視点(作者/神様視点)でそれぞれ語り分けられているのだ。 なぜなのだろう?普

          【読書感想文】1973年のピンボール/村上春樹

          【読書感想文】風の歌を聴け/村上春樹

          私はこれまで村上春樹を読んだことがほとんどなかった。なんとなく食わず嫌いしていた節すらあった。だが、友人の勧めで読むことにした。 裏表紙には「青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作」とある。どうせ読むならデビュー作から、と思ってこの本を手に取った。あまり文量も多くなかったので、2日で読破できた。 読後感としては、何とも言い難い爽やかさがある。しかしその「爽やかさ」は、みずみずしいそれではない。普通の「爽やかさ」を、青空の下、緑の丘を吹き抜けて、一面に刈りそ

          【読書感想文】風の歌を聴け/村上春樹

          「更生」は、ほんとうに子どもをきちんと見ることができる概念なのか

          学友4人で鍋を囲った夜のこと。 私が「更生」概念を研究したい、ということを延々と語り続けた後。腕組みをして固く目を瞑り、渋い表情でY君が一言。 「なんで「更生」を研究しないといけないのかが分からない。」 それをこそ(お酒の力を借りて)つらつらと喋ってきたのに、と思いながら、 「俺は「更生」というものが、果たしてそんなに個人に帰せられるものなのか、ということを考えたいんだよ。非行少年の更生に関わるプレイヤーが大勢いて、かつ、退院後の社会復帰に多様な困難があるという現況を踏ま

          「更生」は、ほんとうに子どもをきちんと見ることができる概念なのか

          元校長先生のお話

          これも正月に父方の実家に帰省した際のこと。 私の父方の祖父は昔、小中学校の教員だった。まだ新米のころ、山間にある小学校に赴任したことがあった。その学校の規模は本当に小さく、全校生徒が十数名しかいなかったらしい。 ちょうどその頃、学校にプールができた。25m2レーンの、これまた小さなプールではあったが、その山間部に住む地域の人たちが汗水流して子どもたちのために拵えたプールだった。 そこで祖父は、「この学校に通う子どもたちは毎日山を歩いて学校に通っている。ということは、足腰

          元校長先生のお話