黒板

雨の初日
都会にも雨が降った
たくさんのものが濡れて
雨音の音や
雨水の水が
ふとした街路の様子を
美しく満たしていく
人混みの中で感じる
植物の吐息
どうしても
辿り着けない教室がある
生命はそこにあるはずなのに
風の通り道だけが
川のように流れる続ける
あなたが笑う
はにかんで笑う
地下鉄の色をしきりに
気にしているけれど
繰り返される季節にも
わたしたちの耳は
ようやく馴染んだのだった
薄い層のカーブを曲がり
その先に溶け出す熱の塊
黒板に文字を書くと
わたしたちの拙い都会は
そこで終わる

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