自分の役割を知る

 2月末から先月にかけて超忙しい仕事→途中友人に会いに東京へ→人事異動で更にカオス&パニックに→急に祖母が亡くなり地元にとんぼ返り→普通に春休みの土日が忙しかった→今ここ
 ほんとに、怒涛の二か月でした。途中、今自分は何をしてるんだか、今日は何曜日なのか本気で分からなくなっていた。その間に色々思うことも読んだ本もあったけど、なんか文章を書ける状況ではなく。
 あ、公募類は、ありがたいことに、大賞一ついただいたのと、最終選考に残ったやつもいくつかあって、色んな講評をいただきました。それについてはまたゆっくり書きたいです。
 とりあえず、ぽかんと空いたようやくの休日の午前中にこれを書いています。あ、この間、うっかり漫画「ゴールデンカムイ」にハマって、ファンアートはいっぱい描いてました。菊田特務曹長が好きです

 奇しくも、というか、当たり前というか、この二か月、自分の役割について考えたり受け入れたりする機会が多く。やっぱり自分は裏方というかみんなのサポートとか縁の下とかで役に立っているということと、どうやら若者や新人さんにモノを教えるのが向いているということを実感している春です。分かってはいたけど、リーダーとかヒーローとかエースじゃないのね。知ってた……光当たらない……私は地味な雑草……

 主に仕事の方ですが、誰かやみんなが忘れがちな作業や確認を最後に総浚いで片づけていったり、誰かやみんなのために地味な裏方準備や下ごしらえをしたりをしている私。まあ、立場的にも資格や役職の要らない雑務雑用をやる係でもあるんですが、割り振られた業務ということに限らず、ゴミ捨てるとか備品補充するとかもせっせと毎日やります。
 多分、もともとの性格が……若干、几帳面で潔癖気味で細かいこと気になる神経質なので。モノが散乱してるとか、片付いてない、準備もできてない、という状況が耐えられない。結果的に、最終チェックとか準備・片付けをやっている。
 で、これをやってると、業務や今の職場の状況や流れはすごくよく把握できる。今どこに何が足りてないか、何をしておくべきか。ピタゴラスイッチじゃないけど、業務って大抵それ単独で成り立ってはいなくて、全てが何かの回路や流れの一部なので、一つの作業に特化しているよりも全部に満遍なくちょっとずつ関わってる方が全体像が分かる。全体像が分かっていると、自分に任された業務についても理解度や解像度が上がる気がする。
 思い返すと、学生バイト時代からずっと、私はたまたまの人事もあるけど、そういうことをやり続けている。接客もデータ管理も発注も作業としてはできるから、足りてないところを随時手伝ったり。バイト時代も、よく他店へヘルプで派遣されたり。モノの場所とかは違っても、基本的な業務は一緒だし。
 早く言えば「なんでも屋」。若い頃は結構それが不満というか、一つに特化できない自分の無能さにがっかりしたり、便利に使われてるだけじゃないかと腹立たしかったりしていた。この歳(アラフォー)になってようやく、「これはこれでおいしいな」と思えるようになってきて、めちゃくちゃ忙しい時に実は結構これが役に立ったりしている。
 忙しい時、「今すぐやるべきこと」「今やらなくていいこと」の判断が一番大事。優先順位や取捨選択を早く判断する必要があるけど、それが、業務全体の俯瞰図が頭にあるかないかで違う。みんなが判断を間違えば仕事のピタゴラスイッチは悪い方へ転がってしまう。なので、それをできるだけ阻止できるのも、「なんでも屋」だったりする。
 そっと優先順位をアドバイスしたり、誰かがつまづきそうなことは取り除いたり、表立ってはしないけど裏で仕掛けや仕組みを作るそれがうまくいったときの喜び。一人きりで噛みしめる薄暗い喜びだけど、なんか隠密とか諜報みたいでいいなとも思う。根っからのサポーター気質、縁の下の力持ちタイプ

 で、仕事はいいんですよ。喜べるから。分かってくれる人は評価もしてくれるし。私、身内の中でもこういう役割を幼少期からやってきて、今回祖母が亡くなった時もやっぱりそういう役割をこなしてきて。それがしんどかった。
 例えば、助手席に座ってナビや各所との連絡や段取りや運転手に飲み物やおやつを渡し、もちろん話し相手もし。高速+一般道で計7時間近くもそれやるのはきつい。(運転手は都度都度変わってます)
 当然、式や待ち時間もそういう態度を崩せないし、今誰がどこにいて、次はああしてこうして、そのためにはこれをこうして……って、脳内フル回転で、身内ともコミュニケーションとって。
 相手が好きな人や友達ならもっと楽にのほほんとやるけど、相手が「別に自分が好きでもない(おそらく向こうも私のことを好きでもない)けど、婚姻関係の続きで友好的な関係である必要に駆られている」人だから、すっごく疲れる。
 私は実の両親に対してもどっちの親族や弟の結婚相手やその家族やその家族にも、まったく同じスタンスで接しているので、こういう集いや式の時は自分の能力を発揮すると同時に、ものすごい徒労感と孤独感に苛まれる。それに給料出るわけでも感謝されるわけでもなし。
 何より、こういう人間って、愛されないんですよ。便利に使われはするけど、愛されるのは、鈍感でわがままで感情表現がストレートな人なんだよな。仕事だったらハナから愛されようと思ってないから楽なんだけど、身内という立場にいると、どうしても年齢の近い他の人間は好き勝手にしてても愛されてるのに、頑張った自分は愛されてないなって目の当たりにしちゃうから辛い。
 今こうやって言語化できてるから随分救われてるけど、これをちゃんと自分でも解きほぐせてなかった子どもの頃は無性に悲しかった。私が地元も実家も安らげない根本的な理由でもある。
 もう、四十九日と一周忌はパスしよう……それぐらいは頑張ったわ……。

 もう一つの自分の役割は、教える係。これも、ホントにずっと納得できてなくて、自分の両親が教える仕事をしていてそれが原因で疎遠にもなってるから余計吞み込めなかった。
 この春、うちの職場がバタバタしっぱなしなのは、3月にベテランがごっそり抜けて4月に新卒さんがどっさり入ったからです。抜けたベテランさんがちゃんと引継ぎしてくれなかったり仕事の仕方に問題あったりもしたのは一旦置いといて(少し恨んではいるが)、二十歳そこそこのフレッシュな子たちに何をどう教えるかでてんてこまいなんです。毎年、少なくとも一人は絶対来るしそれぐらいなら全然サポートできるけど。今回、教える人数が教わる人数より少ないんです。しかもその内の二人は管理職と辞めたベテランさんの後任だから、実質、私(非正規)一人が細かい諸々や業務の色々を教える羽目に。人事は一体何を考えているのか
 てんてこまいしながらの毎日、それでもなんとなくやっていけてるのは、やはり自分にそれなりに適性があるからかと思っています。名プレーヤーにはなれないけど、名コーチになれるタイプ。
 自分で言うのも憚られることですが、基本的に怒らないし温厚でひょうきんな外面だから若い子たちはとっつきやすいとは思う。既に、舐められてもいる感あるし(敬語すらあやふやになってきているので、私はあなたたちの一回り以上年上なのですよ、といつか言わなくてはいけない)
 ↑のように、業務や職場全体を見ているので、その都度やるべきことの指示は出せる。一応業務の歴はそれなりに長い(今書いてて気づいた。私、今、この支所では最古参だわ……こっわ……)から大抵のことは経験済みで対応できる。今回は単に人員がいないから任されているんだろうけど、自分でも書いててだんだん気が付いてきた。多分、「なんでも屋」さんだからだ。
 こんな風に役立たすために毎日縁の下で走り回ってるわけではないが、確かに右も左も分からんっていう新卒さんたちに業務や仕事の流れを教えるには、それを把握できてる人間が適任ではあろうな。繋がってたんだな。
 あと、私には、弟を育てた経験と、恋愛でみた痛い目と、物心ついた時から両親の教え子や従妹や弟の友達が家にいて自分が最年長ということが当たり前に長かったという特殊な成育環境がある。よって、年下の子が失敗したり上手にできなかったりすることは当たり前だし、それには全然いらいらしないという性格になっている。実際、この一週間で一番よく言ったセリフは「大丈夫大丈夫!」だ。
 ただ、嘘をついたり、言うべきことを言わないのは叱る。サボりは、𠮟りはしないけど(それやって困るのは後の本人に他ならないので)、「みんなが許してくれるとは思わない方がいい」とは言う。いつも優しく許す私が真顔で誰かに意見するってそれぐらいだから、ことの重大さは伝わるのではないかとも思う。
 ちなみに、その私の真顔の叱責を最もたくさん受けているのは弟である。弟は漫画「鬼灯の冷徹」の鬼灯を見ると私を思い出すらしい。
 閑話休題。まだ二週間も経ってないから、新人さんたちもそれぞれまだまだこれから壁にぶつかっていくんだろうけど。その時に助けてあげられるよう、できるだけ普段から話しかけやすい人間でいるようには気を付けている。
 これは自分が教えてもらう立場だったときに思ってたことだけど、失敗したり分からなかったりした時に報告や相談しやすい雰囲気だと非常に助かる。内容によってはがっつり怒られるにしても、早ければ早いほど、傷は浅くて済む。お互いのために、「どうしよう」から「言わなきゃ」までが早い方がいい。

 って、こんなことを考えながら日々指導に当たっている。これは給料に反映されないよなとも思いながら。
 多分、私の役割は、こうやって色んなことを考えながら動いて、動きながらまた考えて、ってことなんだろう。どっしり構える大将でも、とにかく一番槍を立てる戦士でもなく。
 


 





 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?