巳年生まれではないし、よくある蛇の神話やキャラクターっぽい要素は自分には全くない。私は至極平凡で、残念ながら金運も良くないし何かの生死や再生にも関わりのない仕事を淡々とこなす日々だ。が、私の中には、蛇がいる。何匹も何匹も、蛇がいる。 いるのは、マムシやコブラのような、攻撃性が強く「カッコいい」蛇ではない。自分の生まれ育った田舎の山中で見るような、おとなしいアオダイショウやシマヘビだ。しかもみんな割とのんびりとおとなしく、そんなに大きく長い体ではない。せいぜい、大人の腕一本
2月末から先月にかけて超忙しい仕事→途中友人に会いに東京へ→人事異動で更にカオス&パニックに→急に祖母が亡くなり地元にとんぼ返り→普通に春休みの土日が忙しかった→今ここ。 ほんとに、怒涛の二か月でした。途中、今自分は何をしてるんだか、今日は何曜日なのか本気で分からなくなっていた。その間に色々思うことも読んだ本もあったけど、なんか文章を書ける状況ではなく。 あ、公募類は、ありがたいことに、大賞一ついただいたのと、最終選考に残ったやつもいくつかあって、色んな講評をいただきま
先月は棚卸や決算で、死ぬほど忙しかったです。やっと、ちょっと一息入れられる程度の仕事量に……。本は読んでたけど、なぜか忙しすぎてどれもピンとこないという。そんな中で無事に誕生日も迎え、また一つ歳をとりました。アラフォーになると別にめでたくもないな……。 さて、年々、祖父(父方)に似てきます。私が。顔や体つきが。ふと鏡を見た時の疲れた感じとか風呂で体洗ってる時の脚や腕の感じとか。若い頃は全然意識してなかったけど、自分が歳をとってきて、自分の知る祖父とだんだん年齢が近くなって
大学時代、法学部に在籍していて、卒論のテーマは「プライバシーに関する権利の成立と今後」だった。もう十五年以上前の話だから当時と今では状況も法制度も変わっているが、あの時から今まで変わっていない私の感覚がある。「有名人の私生活はほっといたれよ」である。いや、卒論の軸は実は個人情報保護法とか自己に関する情報のコントロールについてだったのだが。 パパラッチ的な意味でもそうだし、ネットであれこれ憶測や嘘を書くのもだし、犯罪を犯して正式に立件・起訴されたならともかく、有名だというだ
二十年来、私はシャーロッキアン。基本的に正典信者だけど、ここ数年はパスティーシュもパロディもオマージュも楽しめる雑食性。そんな私が本書を一言で言うと、「愛……」の一言に尽きる。読み終わるのが惜しくて、読み終わってもずっと目に入る場所に置いておきたくて、この本は愛の具現化だとすら感じる。それほど、たくさんの愛が詰まった一冊。 おそらく最も有名なホームズ俳優・ジェレミー・ブレットとイギリスのグラナダTV製作のTVドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズの軌跡やエピソード
まじで色々重なった厄日の続いた1月でありました。誕生日シーズン、いっつも運も体調も最悪な気がする。なにこれ気のせい? まずは体調不良。病院に駆け込むほどの痛みや辛さってわけではなく、排せつが調子悪かったり、頭痛やめまいだったり。自分でも分かっている。この不調は、自律神経の不調のせいだと。昔、子どもの時から、自律神経が乱れやすくてこういう症状が出て、成人してからは特に生理に伴って症状がひどくなることが増えて。 若年性更年期障害と診断された30代後半からは坂道を転がり落ち
もともと稲垣先生の本が好きだ。植物への愛と、クールな視線と語り口。淡々と、時にユーモアや皮肉を交えながら、植物たちの生き方や様子を教えてくれる。そんな稲垣先生の、主に中高生に向けたちくまプリマ―新書の一冊。いわゆる、「ティーンズ」コーナーの本である。 さて、私はナマケモノガチ勢である。十年ほど前のNHKの番組でナマケモノの特集を見て以来、彼らに夢中である。人に尋ねられれば、軽く一晩は彼らの魅力を語り続けるであろう。大変愛しい。近年、ゆる動物としてグッズも本も増えてきてほく
2018年ぐらいに描いた漫画です。 本当にお疲れさまでした、ありがとう、そして関西へおかえりなさい。 今までもたくさん好きな選手がいて、きっとこれからも色んな選手を好きになる。だけど、10年以上ずっと同じ熱量で好きでいられた私の唯一で一番はあなたでしょう。
たくさん読もうと思って図書館で楽しみに借りた本がことごとくダメ(内容が、ではなくて私個人の好みに合わなくて)で途方に暮れた年末年始。2023年に売れたり賞獲った人のものを中心に借りていたものの、売れ筋と自分の琴線は違うのですね。で、結局は昔から好きな本や漫画を読んで過ごしたという長期休暇。1日に大災害もあり初売りという気分でもなく、そもそも家族もいないし帰る場所もないから一人じっと家で……と、ほっとくとずぶずぶと暗くなりそうなので、そんな気分を吹っ飛ばす、元気な漫画を。
図書館で読んで、何回も借りなおして、とうとう古書店やデザイン展を探し回って手に入れた本。手に入れるまでの道のりが長くて、それでもどうしても欲しくて頑張る。自分のものになって、ゆっくりうっとり何度も愛しく読み返す。何年かに一回、そういう本がある。それが本書。フランスのポスター画家、レイモン・サヴィニャックの作品集。 小説やエッセイの本、そして漫画やイラスト集だと、古くても割とすぐに手に入る。チェーンの古本屋さんはじめ、モノによっては普通の本屋さんでも版元から取り寄せることも
今年一番観た、というか、もともと全然ドラマを観ない私がここ数年で一番録画を繰り返し観ているのが、テレビ東京製作の「きのう何食べた?」。この冬season2も終わり、無事にDVDも予約し、年末年始の休みに入って朝から晩まで録画を流しっぱなしにしいている現在、やはりこのドラマについては語りたい!と一人でこうやって文章を書いている。 原作は、よしながふみさんの漫画「きのう何食べた?」。他の記事でも語りまくったが、大学生の時に出会って15年、唯一私が買い続けている漫画。まあ、実は
全国津々浦々、駅をはじめとして、各地で「名物おみやげ」とされるものが販売されている。その多くはお菓子や真空パックの日持ちする食品で、具材や味付けが地方や県、地域によって異なっている。たとえば職場や知人同士の集まりなどで「先日旅行で○○に行ってきて……」と渡されるそれら。この時期、「帰省したので……」とそっと差し出されるそれら。それ自体はもう何十年も前から繰り返されてきた光景で、おそらくこの後も連綿と続くのだろう。 行くなり帰るなり、「職場や友人知人のために」おみやげを選ぶ
年末年始は基本的に家に引きこもって過ごすので、お笑い番組三昧です。リアルタイムも録画も楽しみます。独身一人暮らしなので。でもこれは本当に昔から。子供時代も、両家の実家は車で五分だしほぼ毎日行き来してるから帰省イベントなどなかったし。中でも楽しみにしてるのはM-1グランプリ(以下「M-1」)!中学生の時に始まってから、なんだかんだ毎回観て……いや、途中病んでてそれどころではないのが数年あったな(遠い目) 毎年、敗者復活から録画して楽しみに。サービス業勤務なので基本土日は夜
白状すると、井上ひさしさん自体に興味や好意があったわけではなくて、映画「駆け込み女と駆け出し男」の原作本として読んだのがきっかけ。以下、映画版と原作の比較を中心に。 まず、映画の方は120分越えなのにその長さや重さを感じさせない面白さだった。役者さんが実力派揃いなのはもちろん、やはり脚本の上手さが抜群だった。セリフの長回し、早口(特に前半)が気になっていたが、それも含めて伏線であり、原作を読んだら納得。そもそも、原作からして「」内にぎゅっとセリフが詰まった独特の文体で、む
大きい版のコミックスとして既刊されていた二冊を文庫で合本にした本書。日本・世界の著名な文学者や作品を、漫画で解説していく一冊。前半は日本の近代文学、後半は世界の古典を中心に。文庫版はぎゅっと凝縮された感が加速して好き。 「漫画で解説!」「漫画で分かりやすい!」と謳った本って、大概あんまりおもしろくない(※偏見です)理由は多々あれど、描いてる人間のエゴや自己アピールの方が前面に出ちゃったり、漫画にしたことで余計ややこしく冗長になったりするからだと思う。描いてる人の「自分は分
「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの最新刊。七十代後半の珈琲屋店主・杉浦草が町や人に関する謎を解く、毎年楽しみに待っているシリーズのひとつ。謎解き、ではあるが、いくつも死体が出てきたり壮大なトリックや陰謀があるわけでなく、家族や友人という小さいコミュニティの関係のもつれや秘密を解いていくシリーズだ。 失礼を承知で、それでも忌憚のない言い方をすれば、このシリーズは巻によって好き嫌いがはっきりと分かれると思う。全部読んでいる私でも、「……この回はちょっと……」となってしまう巻があ