見出し画像

もし僕が今後バスケ部の顧問を続けるなら、多分今日のことをずっと忘れないと思う。

静岡に2泊3日の合宿に来ていて、今日は2日目。明日から新年度だけど、私学なので出勤日はもう少し後、という訳である。

3日間で毎日静岡の県大出場程度の強いチームと3〜5試合行うのだが、昨日の1日目の試合で副キャプテンのセンターの子が怪我をした。

最初は足を捻っただけ、と思っていたが1人じゃ歩けない程で、試合にも出れなそうなので合宿1日目にして帰宅させた。

ウチはその子が190cmなのに対して、それ以外の選手はみんな小さい。ただシュートは入るので、外回しからの3Pシュートをオフェンスの軸にしている。ただそれは、ペイントエリアに電柱の様に立ち塞がるセンターがいたから成り立っていた。ディフェンスがセンターに気をとられて外がフリーになるから。

今日センターの子の親から連絡あり、病院に行った結果前十字靭帯断裂、本来なら即手術、全治8ヶ月と伝えられたそう。春の大会は2週間後、引退をかけたインターハイ予選は5月。間に合わない。

昨日今日の試合を見ていても、その子がいないと明らかにチームとしてパワーダウンしていた。小柄なキャプテン(ガード)がボールを運ぶには、センターに繋いでもらう必要があったから、フロントコートにボールを運ぶ前にターンオーバーになってしまう。また、選手たちの中でもどこかでアイツがいないと…という雰囲気が蔓延していた。


センター本人の気持ち次第だが、選手生命を鑑みるならここで引退である。チームや同級生達を考えるのなら、鎮痛剤などを打って試合に出る事は出来るらしい。それでもフルゲームは出れないので、もって各Q5分以内だろう。

いやスラムダンクやん……………
山王戦の桜木やん…………………
もうバスケットは出来ないってことすか?やん………

正直今日の試合は泣きそうになりながら応援していた。普段センターの奴が軽々取っていたリバウンドも、全員で取りに行かないといけない。自分よりもずっとデカい相手をボックスアウトして、スペースをつくって頑張ってリバウンド取りに行こうとする姿は、結構感動した。

ただそれは、いつかはアイツが戻って来るという心の余裕があったから頑張れた。明日からはもうセンターの子抜きで戦うよう気持ちを切り換えて行かなくてはならない。

死ぬ気で応援しないと多分ダメになる。精神論は苦手な子達だが、少なくとも自分達がやってきた練習が無駄になるような感覚は味わせたくないので、ひたすら声をかけることにする。センターの子がいなくて出来なくなったプレーが多いけど、いなくても出来ているプレーを自信にできるといいよね。

本来なら仕事として関わるだけでいい副顧問の仕事に対して、これだけ前のめりにさせてもらい、バスケットを勉強しようと思わせてくれたのは間違い無く新高3の代が真面目に取り組んでいたからなので、この代の引退までの戦いは僕にとっても大事な時間である。教員としてっていうか、人として。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?