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prime videoで劇場アニメ『ぼくらのよあけ』観ましたー。

個人的な評価
ストーリー  C+
脚本     C
構成・演出  B-
思想     C+
作画        B+
キャラ    C+
声優・歌   B
バランス   B-
総合     C+

S→人生に深く刻まれる満足
A→大変に感動した
B→よかった
C→個人的にイマイチ

個人的な感想
 
内容的には、2049年の日本に住む宇宙好きの小学4年生のやんちゃな男の子・沢渡悠真が友達と遊んでいたところ、このアニメの世界で普及している”オートボット”と呼ばれる人工知能搭載のコンシェルジュロボットがハッキングされるところから始まる話です。
 ハッキングされた沢渡家所有のオートボットナナコは、「私は君たちがナナコと呼んでいるAIではない。私は私たちの言葉で虹の根と呼んでいる星から来た。私は無人探査機二月の黎明号、調査のためにこの星に来て降りる途中、トラブルに遭い宇宙に帰れなくなった宇宙船のAIだ。頼みがある。私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」と言います。

 悠真は未知との遭遇に興奮し、大人である親たちにこのことを秘密にして友達たちと協力し、このミッションに励みます。しかし、宇宙船の修理には特別なパーツが必要で、それを集める過程で親たちに悠真たちが臨んでいることがバレます。
 ですが同時に、その宇宙船が地球に墜落したのは実は2022年で、悠真の両親らが先にその依頼を受け、達成できないままなかば頭の片隅に追いやり忘れかけていたことも発覚します。そのことを両親に問い詰めつつ、今住んでる団地から勝手に引っ越すことを決めた不満(老朽化のため仕方ない)なども併せて訴えます。
 そして、一悶着の末にナナコが犠牲になることで宇宙船を宇宙に帰すことに成功します。少年はこの経験を通じて、様々なことを感じて成長できました、めでたし…という結末になります。



 …ですが、このアニメの本当の見どころは上記のストーリーの本筋ではなく、悠真のクラスの友達・岸慎吾のひとつ年上の姉の岸わこ、通称”わこすけ”が、クラスメートの河合花香のいじめに積極的に加担している点です。
 河合花香はおしゃれが好きなせいか、「クラスの敵」に認定され、女子全員から無視されています。卑怯なことが大嫌いなまっすぐな性格もあって、その状況を打開しようともしません。
 彼女の父親は悠真の両親の親友で、宇宙船の修理パーツを持っていたのをきっかけに悠真たちと仲良くなるのですが、慎吾がわこの弟であることを知り、一時は絶交を告げます。

 一方、わこは一見すると友達は多く見えるものの、いつも周りの目を気にしてせわしなくSNSをチェックするタイプで、孤立している花香を積極的にいじめることで人気者になろうとします。
 花香が人間関係の距離感の違いからわこと友達になることを拒否したことや、宇宙船の件で弟の慎吾らと仲良くしてる不満もあって、激昂して殴り合いになります。
 こじれにこじれた小学生女子同士の人間関係の落としどころをどう探すのか?という点については、集中して視聴することができました。

左:河合花香 右:岸わこ

 私がこのアニメを観て得た一番の学びは、いじめを目撃したときにいじめてる側にやめさせようとか、あるいはいじめられてる側を助けようと何か特別な働きかけをするのではなく、そういった学校内の人間関係の歪みはいったん横に置いておいて、他の空間・目的・価値観を通じて仲良くなっていこうよ、という切り分けの思想についてです。
 自分が苦手な人や嫌いな人を自分の知らない別の角度から見てみる。過去を過去として水に流して考えてみる。思春期前の女子の人間関係を通じて、女子の世界の不文律と方法論が見られてよかったです。
 おそらく、宇宙やAIをメインの話にするより、生活にAIが取り込まれた結果子どもたちの精神的な暮らしはどう変わるのか?という観点でもっと深く描いた方がよかったように個人的には思いました。
 ここまでお読みいただきありがとうございました。 

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