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【感想】2023.12.28 男性ブランコの博物館コントライブ『嗚呼、けろけろ』

男性ブランコの博物館コントライブ『嗚呼、けろけろ』

開催場所:上野・国立科学博物館
開催日時:2023年12月18日(月)
配信期間:2023年12月28日(木)10:00~
     2024年1月8日(月)23:59(※)
     ※後日1月22日(月)23:59まで延長
料金:3,000円

男ブラ念願の科博を舞台としたファン垂涎のコントライブ。お客さん前でのライブ公演と同時に、そのフィールドを活かし「映像作品」としても仕上げているとの事。配信メインの当方みたいなものにとってはありがたいことこの上ない。
現地観劇は2ステ×100人という狭き門。当然当方も参加は叶わず配信で視聴させていただいた。

テイストとしては某国営放送にありそうな教育番組風味。科博という場所柄故か、「コントライブ」というよりも「演劇」の側面をより濃く感じた。
平井さん曰く「老若男女全ての方に見てほしい」との想いが詰まった、『生きるもの/生きたもの』への愛に溢れたとても優しい物語だった。

主役のハナモグラ、個体名「ニョロリーニ」が庇護者である学者先生と一緒に自分の故郷と自身の正体を探る旅。ちなみに「ハナモグラ」とは男性ブランコがかつて出演した冠番組「おしえてブランコ」に出てきた謎の黄色い生物。まさかここにきて主役に躍り出るとは。

とにかく平井さんの右手に宿りしニョロリーニがとても可愛い。くねくね動いて愛くるしい。学者先生には「きめぇ~」連呼されてたけど。
平井さんのツッコミ役少年風演技がめちゃくちゃハマる。「やてみた」の少年役にも通ずる演技大好きなんだよなあ。
泣いたりした後何事もなかったかのようにけろっとするところと、ステージを縦横無尽に駆け巡る姿が可愛い楽しい。

平井さんは他にも森の守神(通称・森守)、竜宮城の主である乙姫と、老若男女を演じ分け。平井さんの演技力の高さと幅の広さも相当のものよね。感嘆しきり。

浦井さんももちろん言わずもがなの芸達者。学者先生の芝居がかったケレン味溢れる演技と、亀を助けた青年・亀救の演じ分けが凄すぎた。コッテコテの関西弁バリバリの澱みない台詞の抑揚とリズムが心地よくて、何度も繰り返し観てしまう。
そして学者先生のビジュアルがどストライク。ああいう中世感溢れるインテリチックな風貌がなんと似合うことか。
ほんっっっっとに何物にもなれる御仁だなあ。まさにカメレオン俳優。すごいスキル。

今回映像作品としてOPやED、アイキャッチがめちゃめちゃ凝っていた。特にOPの奇妙な音とリズム、にょろにょろコーラスがけろけろ世界にとてもマッチしていて楽しい。Xで公開された特報PVで部分的に聴くことができるけれども、できればフルバージョンを公式チャンネルに載せて欲しい。
それとここだけの話、OPに出てくる平井さんの助手風ビジュアルがとんでもなく好きです。

それとまたエンディングの演出が素晴らしくて、見終えた後もずっと心に残っている。
配信で観るとライブが終わり帰路につくお客さんの背後に大きいモニターが数台あり、そこにエンディングムービーが映し出されているのだが。

歩く「ヒト」のシルエットの後ろで、楽し気に飛翔するニョロリーニ。

この、ほんの一瞬の光景が自分の目にはとてもセンチメンタルに映った。
ヒトのすぐ近くに在り、でも決して交わらない別の世界で、人と異なる生物たちが楽しそうに「その時」を生きている。森羅万象過去現在未来。ヒトだけではない様々な生きとし生けるもの、過去に生きており今は淘汰されてしまったもの。それら全ての営みに対する畏敬の念と愛情、諸行無常を感じられた。



本公演の配信終了後、次回ライブの告知が公式Xにて行われた。その際、これまで「男性ブランコのコントライブ」の呼称だったものを、

男性ブランコ単独公演

と銘を変えてきたのだ。

『単独公演』

単なる呼び方の違いでしかないのだが、けろけろを見た後だと「コントライブ」という呼称よりもしっくりと心になじんだ。

けろけろの試みはとても実験的で、これまでのコントライブとは一線を画したと思う。もっと広い範疇での「演劇公演」。自分勝手な妄想だけども、チーム男ブラの行く末を暗示する記念すべきターニングポイントだったのではないかと感じた。
これを皮切りにもっと大きくもっと高みへ、もっともっと楽しい男性ブランコの世界が広がっていくような予感がしてワクワクが膨らんだ。

次の公演は初めて「全国」の冠を付けた3都市4公演。どんどん規模が大きくなる男性ブランコの単独公演。「博物館でいえば大英博物館やスミソニアン博物館でやれたら」という平井さんの壮大な野望がいずれ本当に叶いますようにと願わずにはいられない。
と同時に、自分もその瞬間をしっかりと目に焼き付けられますようにと切に願う。多分配信で…(現地はさすがに)

という自分勝手な妄想を膨らませながら次回の単独公演を心待ちにしている。次こそはぜひとも現地参戦したい!

終わり


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