【お題:人工知能】忘れられない夏にして(2)
「……さん、葉月さん」
「はいっ、遅れてすみません!」
目を覚ますと、能面のような氷堂の顔が飛び込んできた。葉月の顔を見つめていた氷堂は、薄い唇を動かして何か言った。流石にお咎めを喰らうだろうと思って、葉月は身構えた。
「熱中症かもしれません。水分を摂ってください」
半解凍のスポーツドリンクを差し出す氷堂は、なぜか異様に眩しく見えた。灼熱の太陽が、氷堂の肌のきめ細かさや艶やかな睫毛の一本一本を、必要以上に輝かせているように思えた。背後の青々とした木の葉はまるで海のように