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4月2日~4月8日 新入社員×ベーコンポテトパイ

「“可能性は∞(無限大) AIチャットボット型”なんだってな、今年は。」

突然声をかけてきたのは名前も知らない性格の悪そうな男だった。

「ダっせータイプ分けされてるよな。毎年。そんな彼らのために一肌脱いでよ。新入社員歓迎会の店、適当に探してさ、予約しといて。だってオレ忙しいからさ。」

たぶん嘘だ。こいつは人の目ばっかり気にして一つも成長しない「“フェイクフラワー型上司”」だ。

「わかりました。ちなみに去年はどこに行かれたんですか?」
「行ってねぇよ。ご時勢だったからな。ていうかそんなこともわかんねぇのか?ちょっとは考えてみろよ、自分で。サクサク仕事を効率よくこなして給料もらえて懐ホクホク。オレに言わせれば、お前は“ベーコンポテト型社員”だ。」

偉そうに。ていうかお前っていうな。この“パワハラ爆走!ミニバン型上司”が!いや、小物だからってミニバンに例えるのはミニバンに失礼だ。小回り効かなそうだし。お前にはチョロQぐらいがお似合いだ。いや、チョロQにも申し訳ないぐらいだ。。

「まぁ信じないかもしれないけど、オレがお前の頃は気が効いて仕事もできたから、“タケノコ型社員”なんて言われてたな。二年で係長まで出世したし。異例のスピードで。お前はこんな嘘か本当かわからない話信じないだろ。」
「自分が頼まれた面倒くさい仕事をいつも部下に押してつけるなと言っとるだろ!この“小麦粉型社員”が。ネチネチ、ネチネチ。お前はただのコネ入社で、親が会社の役員だから出世しただけだろ。」
「またそんなこと言う。ただのOJTですよ。OJT。では外回り行ってきまーす。」

話を聞いていた課長に一喝され、あいつはそそくさと会社を出ていった。ざまぁみろ。

「またさぼりに行きおって。あぁなったらダメだぞ。あいつは“冷蔵庫の奥のバター型社員”だ。コネ入社なのは本当だ。でもポテンシャルはある。本当はデキるやつなんだけど、他の有能な人材に追いやられて今はあのざまだ。賞味期限は長いけど、いずれ捨てられる。」

「入社早々、会社の嫌な側面ばかり経験してしまった。」

一日の仕事を終え、御堂筋で帰りの電車を待ちながら一人つぶやいた。

「あいかわらず社会って厳しい。今度は長く続くといいな。」

転職20回目の“野良猫型中途社員”の彼は、ベーコンポテトパイを食べ終わり電車に乗り込んだ。

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