見出し画像

「空が青いから白をえらんだのです」

学校の図書館にあり、何気なくてにとった本。
気がつくと、一気に読み終えていました。

子どもを信じて待つ。口で言うのはたやすいが、むずかしい。けれど、わたしは奈良少年刑務所での授業を通じて「信じていいのだ」と確信することができた。困難を抱え、刑務所まで来てしまった子でさえ、信じて待てば、自分から成長する。それも、目を見張るほどの成長だ。どんな人も、心のなかに光に向かって伸びる種を持っている。その見えない種の力を信じて待つことを、わたしは刑務所の受講生たちから教わったのだった。

100ページ

「光に向かって伸びる種」は誰しもが持っているはず。
でもその周りを覆っている何かに目がいってしまう。
だから「〜しなさい」「〜はだめ」と
ネガティブな声かけが増えてしまいがち。
それじゃ、種が伸びる訳が無い。

言葉の本来の目的は、人と人をつなげることだ。言葉を介して、互いに理解しあい、心 を受けとめあうことだ。どんなに稚拙なものでも、そのとき、その言葉が、その場にいる人々の心に届き、響きあうのであれば、言葉としての役割を充分に果たしていることになる。それこそが、言葉のいちばん重要な使命であり、大切なことなのだ。たとえその言葉に、普遍性のかけらもなかったとしても、少しも構わないのだ。だって、その言葉は、すでにこの地上で人と人をつなぎ、喜びを生みだしているのだから。言葉として、それほど誇らしいことがあるだろうか。

123ページ

タイトルの言葉は、受刑者の一人がコメントしたものです。
この本を読むと、言葉の持つ力を、
今一度信じてみようかなと思えました。
どんなものでもいいから、
心の底から出てくる言葉を待ち、
それを共有する場を作る事が大切なのかなと思います。

心を閉じている人に、いくら反省を迫っても意味がない。大切にされたことのない人に、人の命や人生の大切さを説いても伝わらない。彼らは、大切にされることで、はじめて他者の大切さを知り「とんでもないことをしてしまった」と感じるようになる。
そもそも、犯罪者でなくても「自分の悪いところを見つめなさい」といわれて、直視できる人は少ないだろう。できれば見ないで済ませたい、というのが人情だ。
それが、恐ろしい犯罪ともなれば、自分がしたことから顔をそむけたくなるのも当然ではないだろうか。それを「さあ、見ろ。おまえはこんなひどいことをしたんだぞ」と力ずくで首をねじって見つめさせようとしても、うまくいくわけがない。

203ページ

耳が痛い言葉です。
職場で生徒に、家庭で息子に、
力ずくで自分がしたことに直面させようとしてきた。
そんな生き方じゃいけない。
世界観を変えていこうと思わせてくれる名著でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?