見出し画像

カルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」を読んで混乱する。

伊豆の山の中でセカンドライフを送っているペースケです。

カルロ・ロヴェッリという人をご存知でしょうか?
私は、この本に出会うまで知りませんでした。



ネットで検索してみると、1956年にイタリアのヴェローナで生まれ、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いる理論物理学者だそうです。
また「ループ量子重力理論」の提唱者の一人で、著書の『世の中ががらりと変わって見える物理の本』は、世界で150万部以上のベストセラーとか。



そのカルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」を読んでみたのですが、一般向けに書かれているそうですけど、かなり難解でした。

画像1

結論から言うと「万物はエントロピーの低いところから高いところへと変化する。宇宙全体に【今】は無く、過去・現在・未来という方向性も無い。つまり、我々が経験する【時間】に似たものは、ほぼ無いと言える。この世界は【物】ではなく【出来事】から成っている」という事らしいです。



ちなみに、エントロピーの低いところから高いところへ・・・と言うのは、例えば、氷が溶けて水になり、さらに蒸気となって気体になるような現象で、分子が静止した状態から激しく動き回る状態。つまり、物質が崩壊して行く状態の事です。



また【今】が無いとは、時間が、絶対的な存在では無いので、Aさんの【今】と、Bさんの【今】は、厳密に計測すると同じでは無く、自然科学的には意味が無いと言う事です。



そして「時間が絶対的な存在では無い」とは、アインシュタインの一般相対性理論で解明された、重力場によって速度が変化すると言う事です。


時間は、低い位置(地球の重力が大きい)より、高い位置(重力が小さい)の方がゆっくり流れ、静止しているより動いている方が、ゆっくり流れるという有名な理論です。

あと「時間に方向性がない(過去から未来への流れが無い)」というのは、トランプのシャッフルの例で、人間が規則性を決定しているに過ぎないと説明しているのですが、一方で、熱反応だけは例外としています。
しかし、私的には、トランプの例が例外であって、万物がエントロピーの低い方から高い方へ変化するなら、それが時間の方向性ではないかと思うのですが・・・。

さらに「世界は出来事から成っている」と言う点に関しては、カルロさんの「ループ量子重力理論」に関係しているらしいのですが、いまひとつ納得できませんでした。

ただ「人間の脳が、過去の痕跡を記憶し、未来を推測する機能を持っているために時間を感じる」という考察は、面白いと思いました。
確かに、過去の記憶が無ければ、常に現在なわけですから、時間の流れを認識出来ないかもしれないと思います。

とにかく、理論物理学という世界は、どうしてこうも難解なのでしょう?
この本には、数式がひとつしか出てきませんが、それでも内容を理解するのは並大抵な事ではない気がします。
皆さんも、是非、この本を一読してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?