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人のせいにしない業務改善

作業の失敗

仕事をしていると必ず失敗する、と考えて良いです。問題はそれがどの程度の規模に発展するか。自分の中ですぐに修正出来るものもあれば、事業の継続が出来なくなるほどのものまであります。ここでは次は失敗しないようにしたい、程度の失敗の改善について考えます。

調査

会社だと、次は失敗しないように改善しようとします。ときどき起こるから仕方ない、と何もしないところは稀です。
その改善策は様々で、失敗した個人が気を付けろと言われたり、大袈裟なシステムを導入するものもあります。ここでは失敗の原因調査をして対策をする、というものを考えます。

失敗の原因調査

組織では失敗から改善までを記録して今後に活かそうとしている場合があります。ISO9001でも用いられる方法です。原因を突き止め、原因を除去し、検証して、次回からは同じ失敗をしなくなります。ISO9001とはいえ、原因を突き止めるのは各組織の仕事でISO9001が何とかしてくれるわけはありません。失敗の原因として、見落とした、ぶつかった、など、原因じゃなくどうなったかを挙げる人が多いです。さらにその報告を受けた側は、それは原因じゃない!と言って再考を促します。これ、ホントに酷い話で、そういうふうに考えてきた人に対して違う、と言っても正解はわからないのです。これを繰り返すだけでは新たなテキトーな言い訳を用意するだけになります。

どこに原因を見つけるか

人はうっかりしたり、忘れたり、勘違いしたり、聞き間違えたりするものなのです。失敗の原因を見落としたなど人間のせいにして十分注意するなどの対応をすると、そのうち同じような失敗が発生します。組織として仕事をこなしていくためには組織としての能力が必要です。個人の能力にはばらつきが大きいのです。組織としての業務手順を確立して、その手順に従って作業を行なったかどうかを確認すべきなのです。
手順通りに作業を行なっていたけど失敗した、という場合では検証するポイントがあります。
・手順は文書化されているか?
手順が明確に決まっていない場合、個人で手順の違いが見られることがあります。こうなると、たまたま失敗した人が悪で、たまたま失敗しな勝った人が善になります。これはいつか立場が逆転するかもしれません。
・決められた手順通りに行えば失敗しないのか?
決められた手順に従って作業をしても、出来たり出来なかったりするものが存在します。作業のバラつきが考慮されていない場合、必要な作業が盛り込まれていない場合、個人にやり方を任せている手順を確認します。
手順書は存在していて、やることは書いてあるけど、やり方が分からない場合もあります。この状況、結構あります。過去の記録を見て同じようにやって、知っている人に教えてもらって、実はコツがある、というスタイル。これでは作業にバラつきが出ます。
・決められた手順は実際に出来るのか?
そもそも決まっている手順の装置がないから出来ない、などということもあります。過去に手順書を作ったものの、時間と共に作業環境は変化します。手順書は改訂されることなく、実態に合わせた作業をしていれば、個人で作業手順に違いが出てきます。

手順を問題とする

自分は失敗しない、あの人は失敗する、という状況で、あの人が問題です、という方向に行きやすいのは理解できます。そういう組織では昔から、「失敗して覚える」ことを美徳のようにしています。決してやり方が悪いわけじゃない、と考えています。この考えは直さなければなりません。組織の成長を妨げるのです。いつまでも、個人の能力に振り回されてしまいます。
原因を見つけるときは、絶対に「人」のせいにしない。決められた作業方法に原因がある、という考えで臨みます。それだけなのですが、「失敗した人」以外に原因を見つけることは慣れないと難しいです。今まで出来ていたのに、他の人は出来るのにあの人は出来ない、という考えが、出来ない人を排除しようとします。

どこで力を発揮するか

個人の力量に積極的に頼ることは不安定な品質を生みます。それでも各作業では必要な資格、個人の技量を必要とするものもあります。そういうものは評価基準を設けて認定された者だけに作業をさせます。必要なら教育を行います。
では他の人は手順書に従って作業をすれば良いのか?といえば、そうです。手順書に従って作業をします。それが良いのです。よく考えながら作業をすることは避けるべきです。
大事なのは手順を決める時です。ここが力の見せどころ。そのときに確実な手順を考えます。考えるだけじゃなくて、可能なところは実施してみて、やりやすいか、無理はないか、失敗しやすくないか、バラつきは許容できるか、記録は取りやすいか、手順書は作業者が見ることができる場所にあるか、などを検証します。
細かいところは臨機応変に対応しよう!というのはダメです。臨機応変に対応するのは想定外の場合だけです。その想定外のことが起こった場合でも、誰に報告して、指示を受け、対処はどうやったかを記録する、などは決めておきます。そして、臨機応変に対処したことは必ずしも正解ではありません。それを受け入れなければなりません。臨機応変の対応が悪い、と責めてはいけません。手順も決めていないことを何とかしようとしてくれたことに感謝すべきです。そうしなければ、いっそ見て見ぬふりをした方が良いですから。組織としてのその事態を想定出来なかったことなのですから仕方ないのです。だから可能な限り、起こりうることは想定して対応を決めておきます。

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