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記録の書式


記録と報告書

記録と報告書には違いがあります。記録は試験をしたり観察したときに書いたもの、撮った写真、コンピュータに入力したり計測器から直接コンピュータにデータを記録したものです。この記録を元にしてデータをまとめたり、計算したり、推定したり、何らかの判定をして、そのことを記載したものが報告書です。きれいな書式に見やすく印刷してあるものは記録でなく報告書です。言葉の使い方は人によって変わりますので、ここでの記録と報告書の意味合いを感じてください。

生データ

試験で使われる言い方です。加工前の元のデータ。記録の仕方に注意が必要です。生データはそのまま、見たままを記録します。
3.456の結果表示だけど小数第一位までが必要な場合でも、四捨五入しません。3.456はそのまま記録します。
基準値が10.0のとき、結果が11.2のとき、-1.2と記録せずに、11.2と記録します。差が必要なら後で計算します。
測定値は表示される数値の10倍のとき、表示値を記録します。それを10倍することを記載しておきます。後で表示値の記録から計算してその結果とします。
10個を測定して平均値を結果とするとき、10個のデータを記録します。平均値は後で計算して結果とします。
規格値が10〜20で結果が30のときは30を記録します。測定方法が間違っていたかどうかはその後検証します。測定方法に誤りがあっても、初回の測定結果は30であったことは記録として残します。無かったことにはなりません。

記録は単純に

試験や実験の記録は単純にとります。そこに計算や推測は含みません。記録したデータを元に、計算をして評価したり、推測をします。この切り分けを行うことで、記録様式がスッキリして間違えにくくなります。
目盛を読み取って、その5倍が測定結果になるような機器があります。それでも記録はそのまま読み取った数値を記載しておきます。よく考えて作業しよう!というのは良さそうに聞こえますが、作業時はなるべく単純で間違えにくいようにします。考えるのは準備を考えるとき、どうやって作業をして記録をとるか、を徹底的に考えます。作業時に考えれば良い、というのは結果をあやふやなものにしがちです。臨機応変という4文字熟語は聞こえが良いだけで、何も決めていないのです。

記録を信じる

他の人の記録は、基本的には「正しく記録されているも」のとして見ます。これは「記録」があるから品質は問題ない、ということとは違います。各データが正しく記録されている、というところまでです。これは記録する人しかわからないからです。検査データが1と記録してあれば、2かもしれない、と疑っても分からないことなので意味がありません。規格に適合しているかどうかは、データと規格を見合わせれば判ります。

記載間違い

そんな記録ですが、書き間違ってはいけないわけではありません。123を223と記録してしまうかもしれません。それは訂正すれば良いのです。訂正する場合は、間違いの記録の上を1本線か2本線で間違いであることを示し、正しい結果を記載します。訂正理由と訂正日と訂正者を記載します。
何でそんなことをするかと言えば、それが記録だからです。記録は最終的な結論ではなく、調べたこと、実験してどうなったかというものです。自分の想定した結果と違うということも含みます。都合の良い結果だけを記録して、都合の悪い結果を消し去ってはいけません。学力試験のように間違ったところは綺麗に消して正しい答えを書く、とは全く異なります。


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