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業務改善できるか?

とある製造業でやっている改善活動について


失敗を繰り返さないために

とある機械組み立て会社では部品の発注ミスがときどき発生していました。その部品はほとんどが特注品です。色、サイズ、形など細かな仕様があるのですが発注時に間違ってしまいます。現場ベースでは改善される雰囲気がなく、発注ミスは繰り返されていました。そこで上層部から発注ミス防止月間と名付けて対策を通知しました。

ひっそりと通知

デスクワークの人が考えた対策が通知されましたが、実は現場の人は知りませんでした。社内ネットワークのサイトにひっそりと表示してありました。担当者が知らないならまったく意味はありません。

防止策とは?

その防止策は次のようなものでした。
生産品にはその部品の特徴に従って、製品番号の最後に記号が付けられていました。例えば、
-SG まっすぐで緑色
-CB 曲がっている青色
-QW 四角い白色
他にも記号は15程度あります。これらの記号の意味を覚えて、生産時におかしいと思ったら連絡してください。というものです。これなら生産時に部品の誤りに気付くことができます。

防止策の問題点

たくさんある記号の意味を作業員に覚えさせようとすること。
こういう対策は一時的に効果があっても、時間経過でミスが発生します。人は忘れてしまったり、うっかり間違えてしまいます。新しい人は覚えるまでに時間がかかります。

防止策として

どうすれば良かったのでしょうか? そもそも誰もこのトンデモナイ防止策について何か言わなかったのか?ということもありますが、そういうやり方で防止策を立てている会社はほとんどそうなっていて、その発想ばかりになりがちです。
まずミスがあった場合には、個人のせいにすべきではありません。これは作業システムの問題なのです。しっかりしろ!とか、うっかりしていました、気が付きませんでした、と言って、それを原因にしていては同じことを繰り返すのです。
製品仕様を確認して部品を発注すれば良いのですが、色、形、サイズなどが発注者に通知される時点でも記号が多く、具体的な色調や形でないことがあります。記号を付けておくのは少ない文字数で製品の特長を表すことができますが、人間に対しては間違いを生みやすくなります。
・具体的な製品仕様を伝える書式で連絡する
・発注部品を準備、記録、確認する書式を作成する
あまり具体的な業務手順が分からないのですが、間違いにくくすることと、間違えたときに気が付きやすくすることが大事です。間違えるな!と指示するのは簡単ですが、間違えないようにするのは困難です。
発注書などに「最終確認!」などと書くことも無意味です。実際に、何をどうやって確認するのか、が明確になっていなければ同じことを繰り返します。そしてこれらの対策は手順として組織で決めて、全員がそうするようにします。

失敗する人が悪いのか?

作業者にはやり方を教えているんだから失敗した人が悪いんじゃないのか?と考える人もいますし、むしろそういう人が多いです。そうなんです。失敗する人がいなければ問題は起こりません。失敗する人は少数なので、ほとんどの人は問題ではない、特定の人が問題なのだ、という発想です。実際にその場にいて、自分が失敗していなくて、ある人が失敗していれば、自分は無関係と思ってますますそう考えます。
私はそのスタイルに否定的です。芸術作品の作成など、個性を生かす場合であれば個人のやり方は尊重されるべきです。しかし組織で決まった製品を作る場合はやり方は同じほうが良いのです。その方が品質は安定します。そして出来るからと言って、特定の人が異なる作業で高品質を生み出すことも悪い方法です。製品品質は安定が大切なのです。もし、その品質が必要であれば、その品質を得ることができる方法を決めて作業すべきだし、それにはある程度の技量が必要であれば、その技量がある人だけに作業をさせなければなりません。

作業手順と教育

作業には個性は排除した方が良いです。そのために作業方法は手順書を作成し、それに従って行うべきです。各自でやりやすい方法があるからね、という部分がある場合、それは製品品質に影響しない前提でなければなりません。
ある作業を行う場合、慣れている人、出来る人が教育することが多いです。OJTで、という場合が多いですが、私としては教育も手順書があった方が良いと思います。OJTは指導者のバラつきが多すぎます。同じ指導者であっても、そのときによって教えることが違ってきます。必要なことを過不足なく伝えることは重要で、効率的に行うことができます。後で、あのことは教えていなかった、ということはよくあることです。それを「だんだん慣れるから」とあいまいにすべきではありません。

組織の成長

個人の場合は自らどんどん成長すればよいでしょう。組織では組織として成長することが重要です。個人を育てても、組織として成長がなければ良い製品はできないし、良いサービスは提供できません。この組織の成長を「手順」という形で作っていくべきと考えます。

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