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加速するデジタル化、あらゆる攻撃に対処する新しい形のサイバーセキュリティ #テンカイズ

クラウドやIoTなど、今やとどまることなく進化を続けるIT技術。ビジネスの世界では、各企業の本業に生かしていきながら、自社の情報や技術を守ることも重要視されています。国際的にサイバー攻撃が猛威を振るう中、各企業も予算や人員を割いてしのぎを削っています。今回は、サイバーセキュリティ分野において革新的な技術と考え方で企業をサポートする集団に迫ります。


1. サイバーセキュリティだけど「守る」だけではない

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宇賀:今回のゲストは、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(DIT)代表取締役社長の市川聡さんです。まずはサイバーセキュリティについて、簡単にご説明していただけますか?

市川:企業の中にはサーバーがあります。ホームページを表示するためのコンテンツが入っていたり、企業の中での大事なファイルが確保されていたり。そのサーバーが外側から攻撃されることにしっかりと対応していくのが、我々のサイバーセキュリティの商材です。

今までの常識だと、サイバーセキュリティの商材は「攻撃される手前で防ぐこと」に重点を置いた製品がほとんどでした。ただ、いくら防ごうとしても、攻撃は手を変え品を変えやってくるので、100%対応しきれない。

その中で、我々はどんな攻撃に対しても100%対応できるサービスを展開しようと開発したのがWebARGUS(ウェブアルゴス)です。「守る」のではなくて、正しい状態を保持し、少しでも変化があれば瞬間に検知して、瞬間に復旧する。復旧に必要なのは、実測0.03秒。初めての攻撃に対しても100%対応でき、0.1秒未満で戻すため、実害をゼロにできるという新しい考え方に基づいた商材です。

野村:攻撃を防ぐのではなく元に戻すというのは、他社がマネできないものがあるんですか?

市川:この0.03秒という、ここまで実測で早く戻せる商材は世の中にありません。我々だけのものだというふうに思っています。

野村:他社が開発できない中で、DITができたのには理由があったんですか?

市川:我々はこのセキュリティ分野においてお客様からの受託開発などでたくさんの経験値を積み、セキュリティのさまざまな知識が身についています。「こんな商材があったらいいんじゃないか」という発想は、エンジニア側も、経営側も、営業サイドも一緒に考えています。
その上でここまで早く戻せる商材を作れたのは、弊社の高いエンジニアリング力だと自負しています。

野村:商品名WebARGUSの「アルゴス」は、眠らないギリシャ神話の巨人なんですね。

市川:常に監視をして攻撃されることがないようにと、我々のエンジニアが一生懸命頭をひねってつけた名前です。


2. 鍼灸師からデジタル会社の社長へ?

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宇賀:市川さんの経歴を拝見すると、最初は針灸師をしていたんですよね。

野村:経歴を拝見して、どういうことなんだろうと驚きました!

市川:一応国家資格を持っていて、鍼の先生を丸3年間やっていました。

宇賀:なぜ鍼の道に進もうと思ったんですか?

市川:私の父がうちの会社の創業社長なのですが、子どもの頃からとても厳しかったんです。なので私は自分で手に職を得て、自分の世界の中で生きていきたいという想いがあり、医学の道へ進みました。合格したのが東洋医学の学校で、鍼灸師の道へ。

鍼の世界だと、手先の感覚や経験値がとても大事になります。どんな患者さんが来られても60点の治療はできるようになったんですが、そこから80、90、100点の治療をどんな人に対してもするところまでは到達できず、壁にぶち当たっていたんです。

そんな時に、私の父から

「その壁を抜けるためには数をこなすんだ。うちの400人の社員(当時)に対して治療をし続ければ、お前は壁を抜けられる」

と言われ、鍼を打つために今の会社に入社させてもらったんです。

宇賀:毎日社員の皆さんに鍼を打っていたんですか?

市川:場所とベッドは提供してもらったんですが、全然来てくれなかったんです。
社長の息子で「あいつは何者だ」と言われたりとか。あとは女性の方だと、鍼を打つときはどうしても肌を出さなければいけないので、抵抗があったりとか。結局、3ヶ月間で来てくれたのは5人ほどでした。

そんな中で、父に「そんなところでくすぶっているなら、俺の手伝いをしろ」と声をかけていただいたんです。やったことのない世界でしたが、そうした機会があるならやってみようということでチャレンジさせていただきました。それで今の道へ。

宇賀:ご苦労も多かったんじゃないですか?

市川:最初はエクセルやワードなどの作業する上において使えて当然なところも一切分からず入社したので大変でしたね。でもそれを克服した後は、戦力になっていくために、経験値がない分、短期間でたくさん自分の時間をかけてやるようにしていました。入社してから17年が経ちましたが、さまざまな経験をさせてもらう中でも、ずっとその積み重ねでしたね。

野村:創業社長の息子という立場で、しかも途中から入社。社員の方から色眼鏡で見られることもあったんじゃないかなと思うのですが、どう乗り越えられてきましたか?

市川:私は元々、あんまり気にしない性格なところもあって、とりあえず目の前にあること、求められていることを一生懸命やろうという積み重ねでしたね。
最初は皆さん「こいつ、どんな奴なんだ」という気持ちもあったと思いますが、そこは積極的にコミュニケーションを取ることによって乗り越えてきたかなという気がします。


3. あらゆるモノがサイバー攻撃の対象になる未来を生き抜く

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宇賀:社長として大切にされていることはありますか?

市川:2点あります。
1点目は、「変化対応力」。世の中の変化に対応していくためには、新しいことにチャレンジしなければいけません。そうしたチャレンジする気持ちやDNAを大事にしています。そして私は社長として、社員のメンバーがチャレンジできる舞台を整えてあげることも大事にしていますね。

2点目は、うちの経営理念でもある「社員の生活を守ること」。社員は会社の宝物だという考え方は、非常に大事にしています。

そうした2点がある上で、この会社に脈々と受け継がれてきた我々の土台になる大事なものをきっちりと80%守りながら、残りの20%で生き残っていくための変化をしていく。このリミックスで生き残っていくんだということを大事にしていますね。

宇賀:今後、サイバーセキュリティ業界はどうなっていくと思われますか?

市川今後、IoTと言われる家電製品、監視カメラ、車自体などもインターネットを介して繋がっていきます。そうしたあらゆるモノが、インターネットを介して攻撃されることになります。例えば車だと、自動運転が主流になってくる中で、そこをハッキングして意図的に事故を起こさせるとか。監視カメラも、監視できないようにハッキングされたりとか。

いわゆるIoT製品と呼ばれているもののセキュリティは、まだ規範もできていないですし、今後着目されるところだと思います。その上で我々のWebARGUSのIoT製品版みたいなものを世の中に出して、活躍できればなと思っています。

野村:確かにIoTだとコンピューター上で攻撃を受けるよりも被害が甚大になりそうですね。

市川:我々も自社のサービスがIoT製品にも対応できる未来に向けて、一生懸命取り組んでいるところです。

宇賀:最後に、市川さんご自身の今後の展開を教えてください。

市川:自社のプロダクトもさることながら、IT業界の中でしっかり会社を成長させていくために、変化にしっかり対応する。その中で先を読んで、今のサイバーセキュリティ商材だけではなくて、新しい製品やサービスを世の中に出していく。その中で、会社も成長していく。その中で、私自身も成長していきたいなというふうに思っております。

宇賀:ありがとうございました。今回のゲストは、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社代表取締役社長の市川聡さんでした。

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