朗読劇 藤井の脚本制作秘話など

朗読劇が無事終わった。

70分の間は目と耳が研ぎ澄まされすぎて、どっと疲れた。

お客さんの表情や声が気になりすぎて、

お客さんだけじゃなく、YCAの同期や舞台上の演者のみなさんのことも気になりすぎて、

会場中に僕の感覚神経が接続されているみたいだった。

最後の1人のお客さんが会場を出るまで、会場と僕の感覚神経の接続はオンになったままで、お客さんがみんな帰って接続が切れた瞬間に、3秒ぐらい何も聞こえなくなってから、どっと疲れが押し寄せた。

とにかく疲れた。

でも、その疲れを上回るぐらい充実していた。

自分たちの考えた話が舞台になり、お客さんを楽しませたり、人生について考えさせられたと言ってもらえた。

正直言ってすごく不安だった。

身内ウケなんじゃないかって心配したけど、お客さんはみんな良い顔をしていた。

SNSやLINEでも面白かったとか、人生について考えさせられたって意見がたくさん見られた。

良かった。

ずっとお化けみたいに取り憑いて離れなかった、朗読劇を成功させないと、っていう想いから解放された。

ずっと一つの目標にしていたものがなくなって、もっと燃え尽きるかと思いきや、不思議な感情になっている。

完全に燃え尽きてしまった横で、全く違う炎が燃え上がっている。

自分にはもっとやれるという期待感の炎が燃え上がっている。

この炎は絶やすことなく、今回を超えるぐらいにもっと良い作品や、もっと良いチームを作り上げてゆきたい。

もっともっと上を狙う作品やチームを作り上げてゆきたい。

どのようにすれば自分のその思いが実現できるのか、たくさん頭を働かせて、たくさん行動して、たくさん反省して、頑張りたい。




そういえば、最初にこの朗読劇の企画を聞いた時に、僕が提案した企画は、京都の鞍馬山が舞台の「ひみつ吉」という架空のおみくじをテーマにした歴史ファンタジーだった。

ただただワクワクする舞台を作りたかった。

何かワクワクする物を探して、1人で思いつきで静岡の熱海や三保の松原や清水まで行って、清水のちびまる子ちゃんランドで秘密基地に入っていた時に、これだ!と思った。

秘密基地はめちゃくちゃワクワクする!

その後、ちびまる子ちゃん神社で大吉を引いた時に、秘密基地の基地を吉に変えた「ひみつ吉」をテーマにしようと考えた。

ところが、この朗読劇とは別に、脚本の授業の方の企画会議で、僕が「葛藤」を描きたいって力強く演説したせいもあってか、多くの人が朗読劇の方でも「葛藤」を描きたいみたいな企画を提案した。

そして、その中の一つで汎用性の高いテーマでもあった「大人になろうか!」が選ばれた。

そして、そのテーマでさらに全員で企画書または脚本を書いてきて、その中から良いもの5つを選ぶことになった。

これを提案していたTさんの言葉のセンスはやはり魅力的だった。

僕はTさんの大大大ファンで、この人の魅力を語り出したら、サーバーがダウンしかねないので、一旦置いておくとして、

どんな脚本を書けばいいのか、どんな設定なら面白くて差別化を測れるのかを考えに考えた。

自分の理屈っぽさ全開にすれば、世間との折り合いをつけるのが下手で大人になりきれない人間は描けるけど、全然魅力的じゃなかった。

どうすればいいのか結論が出なかったので、インプットを求めてNGKでやっていた令和喜多みな実さんの単独ライブを観に行くことに。

そして、その前に普段から授業でお世話になってる、令和喜多みな実の野村さんについてネットで色々と調べていて思った。

自分とどこか似ている。

この人をイメージして書けば、魅力的に書けそうだ。

そこで、たくさん脚本などを書いている野村さんをイメージして、物書きの話を書くことにした。

野村さんを藤井に寄せて、モテなさそうにしたのが僕の書いた小説家、上四元圭介だった。

そこからはみるみる話が浮かんでいった。

この小説家の相手役にどんな人物を書くか考えるのに、あまり時間はかからなかった。

小説家や表現者にとって1番大切なのは読者やファンの存在。

だから、上四元自身がこの世に存在してると思っていなかった、自分の小説の数少ない貴重な読者を相手役に選んで、全く初対面の貴重な読者との奇跡的な出会いを書くことにした。

そして、そんな貴重な読者に出会えることは、売れてしまった小説家には味わえない感動であり、初恋のときめきのようなものだと思ったので、一目惚れしてしまうぐらい綺麗な女性を相手役にした。

これなら、確実に周囲と差別化を図れる。

劇場にお笑いを観に来た観客のやりとりを描くのに、初対面の2人を書こうと思う人はいないだろう。

自信満々だった。

その自信通り、採用された。

周囲の同期からの評判も良かった。

でも、講師の先生からの評判は、採用されたけど、中途半端だった。

僕的には、未だにこの時の第一稿がベストではある。

第一稿からあんまり変えていない修正版を送ったけど、全然やってほしいことと違うと言われた。

仕方がないからまあまあ書き換えた。

セリフに関して何か言われたわけではないけど、2回3回と台本を否定されると、お気に入りのセリフとかも全部否定されたような気がしたし、なんだか最初のキャラに飽きてしまった自分もいたから、キャラ設定からセリフから何からめっちゃ大幅に書き換えた。

ちなみにこの頃、学園祭のOPV関連で常軌を逸するほどに忙しかった。

正直、忙しすぎてめっちゃ間に合わせで書き切った。

でも、自分が最初に書きたかったのと違うような物を全力で書き切ろうとすることで、他にもお気に入りのセリフに出会えたり、考えてなかった展開も出来たりして、それなりに有意義ではあった。

ところがどっこい、めちゃくちゃ書き換えられていた。

うん、今読み返してもわかる。

書き換えられるのは当然だ。

書き換えてもらって、圧倒的に面白くなっていた。

その一方で、論理的にも感覚的にも僕的にはちょっと無茶だと感じるところがあった。

だから、稽古が始まる10日前に、台本第一稿を大幅に書き換えた幻の第二稿を提出した。

ツッコミどころもあるけど、それなりの手応えもあった。

稽古が始まる10日前なら、まだ書き換えてもらえると思っていた。

信頼している同期2人に確認もしてもらって、悪いところを直してから提出したし、それなりの自信はあった。

ところが、第一稿から変わりすぎていて採用できないと稽古前日ぐらいに言われた。

悲しい。

僕の話は物語全体のメッセージ的な部分も担っていたし、奇跡的な出会いという、ドラマ性を持ったパートでもあったから、メッセージ性とドラマ性と、あのドリの単独ライブに来るまでの歴史と想いをめっちゃプラスして書いた。

前の台本の方が良かった部分も多いけど、幻の第二稿のエッセンスさえ抜き取れば、確実に物語全体のまとまりや、最後の締まりが良くなると思っていただけに、少し残念だった。

ちょっとした演出上の遊び心も入れていて、お客さんをワクワクさせられたはずだったから、少し残念だった。

でも、この少し残念という気持ちは稽古に参加してみると変わった。

役者さんに演じていただいて、ただの文字が生きた人間のセリフとなると、こんなにも力強くなるのかと驚いた。

これならいける。

こんなにもエネルギーに満ち溢れているんだから、きっと面白くなるという自信を抱いた。

と同時に、この時の感情はその時のnoteにも書いたけど、正直言って、素敵な空間にいる自分が辛かった。

自分がこの朗読劇において、たくさん迷惑をかけて掻き乱したり、同期や事務局にストレスを与えてしまっていたことは自覚していたから、

あまりにも素敵すぎる空間の中で、自分の惨めさだけが浮き上がってくるような感じで辛かった。

でも、自然と周りの素敵で幸せな空間に自分も引っ張られて、元気な自分を取り戻してゆけた。

稽古最終日には、朗読劇が始まった一番最初の、純粋に楽しんでいて、いつもテニスをしている時の自分みたいに戻っていた。

テニスをしている時は、ただただひたすらに楽しんでやるから、みんな勝手に僕に巻き込まれてゆく。

自分には、そういった無邪気に楽しんで人を巻き込む力があったはずなのに、いつの間にかいろんなことが空回りしてしまっていた。

やっぱ楽しまなきゃ。

朗読劇当日はとにかく楽しんだ。

本番が始まる直前まで、その空間をただただ楽しんだ。

僕はなかなか珍しい、客引き大好き人間だから、いつも通りたくさん客引きをして、思いっきり客引きを楽しんだ。

散歩をしていたトイプードル相手にも、朗読劇当日券いかがですか?って営業を持ちかけたりした。笑

トイプードルは何度もポスターの匂いを嗅いだり、僕の目を真っ直ぐに見つめて話を聞いたりしてくれた。

これは当日券を購入してもらえると思ったけど、後一歩のところで購入までは至らなかった。

またいつか、あのトイプードルにも観にきてもらえるワンワンショーか何かを企画したいという気になった。(嘘)

本番が始まってからも、神経こそ張り詰めていたものの、その張り詰めている自分自身を楽しんだ。




色々と書いていたけど、なかなかまとまらないから、一旦本番に至るまでの藤井史を書いたところで今日のところは終了。

本当は終わってからすぐに朗読劇関連のことを投稿したかったけど、映像クリエイターコースの授業関連で縛られていたり、仕事の方でも忙しかったりで中々投稿できずにいた。

せっかく朗読劇も終わって、少し健康を取り戻しながら、ゆったりと感想や学びについて書きたかったけど、後もう少しだけ映像クリエイターコースの授業でやらなきゃいけないことをこなさなければ。

よし。朗読劇の学びも活かしつつ、いい感じに楽しむか。



(しばらくは朗読劇関連のことを書く予感。)

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