その数字に騙されないで!逆に上手に使おう。
数字って、確信があるように見えますが、そんなに根拠がなくても見せ方によっては心理操作できてしまうんです。
・多くの患者に支持されている。
・98%の患者に支持されている。
印象が全く違いますね。
多くだと、ぼんやりしたものが、98%だとほぼ間違いない数字に見えます。
よくCMでは、数字による心理操作が行われています。
上述のような直接的な言い回しではなくて、ある部分を隠すことによって効果を大きく見せる方法です。
例えば、
「このサプリメントを飲んだ、モニター20名が全員マイナス5kgを達成!!」
このような謳い文句のサプリメントがあると思います。
モニターになって、”無料”でもらったサプリメントを飲めば、日本人はいい人ばかりなので、「絶対に痩せなくては!」と必死になると思います。
このようなものをバイアスと言いますが、今回は、そこに着目しません。
モニター20名ではなくて、「マイナス5kg達成」に着目します。
さて、何キロの人が、マイナス5kg達成したのでしょうか?
100kgの人がマイナス5kgなのか、50kgの人がマイナス5kgなのか?
元の体重が違うだけで、印象が変わります。
さらに、「〇〇医師の95%が推奨!!」。
もバイアスを利用した、数字心理操作が行われています。
例えば、あなたが歯科専門医だったとします。
ある会社から、あるマウスウォッシュが送られてきました。
そして、そのマウスウォッシュについて、アンケートにお答えいただきます。
「このマウスウォッシュは、効果があると思いますか?」
実際、マウスウォッシュで、効果があるので「効果がある」とお答えします。
あなただけではなく、ほとんどの歯科医師が、「効果がある」とお答えするでしょう。
その結果、「効果がある」と答えた歯科医師が91%だったとします。
そのマウスウオッシュは、「歯科医師の91%が推奨!!」とCMします。
*注 本当に行われているかは、分かりませんが、僕ならこれよりもえげつない方法で、95%以上の推奨率を目指します。
このような数字トリックに騙されて、商品を買って失敗することも多いでしょう。
今回は、数字に騙される可能性を知り、逆に数字を上手に使う方法についてお話しします。
その数字は逆転させたほうがいい
数字を逆転させる方法は、よく医療の現場で使われます。
例えば、手術が失敗し、死亡する確率が70%だったとしましょう。
日本では、「手術で亡くなる可能性が70%あります。厳しい状況ですが、最善を尽くします。」とそのまま伝えることが多いようです。
欧米では、「よかったですね。このような大変な状況ですが、手術によって30%生存する可能性があります。僕はこの手術に精通しているので、可能性を上げることができます。」と数字を逆転させて伝えるようです。
患者や家族の信念や考えによって受け取り方は変化しますが後者のほうが、患者や家族は安心感が増すそうです。
→どっちがいい?
このように、数字を逆転することで、印象が変わることが多いんです。
筋トレしても、40%の人がが歩けない。
筋トレすれば、60%の人が歩けるにようなる。
運動すると、血圧が平均で11mmHg下がる。
運動しても、収縮機血か150mmHgの人なら、8%しか下げない。
運動すると、死亡リスクが40%下がる。
運動すると、生存確率が60%上がる。
ぶっちゃけ、どっちがいいのかは時と場合によります。
要するに、使い方です。
その人に、行動させたい時。
その人に、行動させたくない時。
それによって変わってきます。
自分が、どのように感じるかで、試していってみてください。
大勢より、1人にフォーカスする
かつての、ソビエト連邦最高指導者で、クルクルヒゲのスターリンは、「一人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計上の数字でしかない」と述べています。
私たちとって、多くの人の不幸は自分ゴトではないようです。
現在、ロシアとウクライナで戦争をしています。
その戦争によって、20万人の死傷者がいるようです。
しかし、私たちにとっては、対岸の火事といったところでしょう。
では、時間や場所、物、人を絞った場合はどうでしょう。
ペンシルバニア大学ウォートン校の教授らが行った有名な研究を紹介します。
「アフリカのマラウイで食糧不足に苦しむ300万人の子供達のために」よりも、「マリの7歳の少女ロキアのために」というメッセージの方が募金を多く集めました。
何百人の人の苦難よりも、たった一人の悲劇の方が人々の心を動くことがみてとれます。
わたしたちは、統計的な命より、特定できる命の方が衝撃的で「自分ゴト」になるようです。
これは、よく日常でもあります。
体に有害なサプリメントでも、「〇〇さんが、これ飲んで痩せた」と言われれば、欲しくなるんですね。
高額当選者が出た宝くじ売り場に、くじを買い求める人が行列を作るのも同じような理論とおもわれます。
知り合いが、ここで買って高額当選した。
一度高額当選者がでると、その売り場は発行枚数が増える。
そうすると、近しいひとが、当選する確率が増える。
普通に考えれば、行列を作れば作るほど、発行枚数が増える。
でも、当選確率は変わらない。
ゆえに、どこで買っても同じ。
仮に当選確率は、1000人に1人とします。
新宿店は、30,000人が買いにきたから、30人当選。
浅草店は、3,000人が買いに来たから、当選者は3人。
変わるのは、発行枚数が多い売り場は、それだけ当選者が多いだけです。
でも、影響力は30人が当選した新宿店の方が大きくなりそうですね。
・30人が、「あの売り場で当たった!」と言いふらす。
・3人が「あの売り場で当たった!」と言いふらす。
圧倒的に前者の方が影響力が高くなります。
ただし、そもそも宝くじで1等が当選する確率は、1000万分〜2000万の1なので、買わない方がいいと思っています。
同じ数字でも、"意味"がかわる
同じ数字でも、感じ方が変わることがあります。
これは、前述のような、コロナウイルス感染者数が良い例です。
別の例をみてみましょう。
①玄関を電子キーにすると、10万円で電子キーを取り付けることができ、より防犯性が高まります。
②あなたは新築の家を3000万円で買いました。オプションでプラス10万円、3010万円支払うと電子キーになります。
どちらのパターンが、電子キーを買う確率が上がるでしょうか?
間違いなく②ですね。
3000万円出すと,10万円が安く見えます。
同じ10万円でも、意味が違うんですね。
これは、①は10万円損失しているという心理が働きます。
②は、3000万円出した後に、たった10万円で防犯性が高まるなら・・・・という心理が働きます。
同じ10万円のはずなのに、“意味“が変わってきているんですね。
このようなことを考えていくと、数の“意味“というものをしっかり考えていくことが、”活きた“知識となると思います。
騙すこともできる。
いや、騙されないために使おう。
じゃあ、またねー。
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