運動には新型コロナウイルス感染と重症化のリスクを減らす効果がある。
新型コロナウイルスが蔓延する中、私たちはさまざまな制限を受けています。
・濃厚接触で、仕事に行けない。
・感染したため、外出ができなくなった。子供も幼稚園に行けない。
・重症化しないか心配。
などなど、行動だけではく、メンタルにも悪影響を及ぼしそうです。
新型コロナウイルスによる60歳以下の人たちの死亡率が、インフルエンザと同等の死亡率になりました。
しかし、60歳以上の人たちの死亡率はインフルエンザの4倍にもなります。
自分のおじいちゃんやおばあちゃんを守るためには、しっかりと予防する必要がありそうです。
新型コロナウイルス感染予防には、マスクをすることや手洗いの徹底、3密を避けるといった行動が必要になります。
最近、運動も新型コロナウイルス感染の予防と重症化リスクを減らす効果があるということがあることがわかってきました。
では、運動によって、どのくらい新型コロナウイルスの感染リスクを減らせるか?重症化リスクを減らせるか?
さらには、死亡リスクも減らせるか?を見ていきましょう。
最強の研究方法で分かったこと
結論は、中程度の運動を行うと、重症化・死亡リスクが40%以上低下します。
40%ってすごいですよね。
詳細なことをお伝えするために、スペインのバレンシア大学で行われた、システマティックレビューを紹介します(文献1)。
システマティックレビューとは、世界各地で研究者が調べた研究結果を集約し、統計学的手法を用いて検討する手法です。
一言で言えば、最強の研究手法です。
その研究は、1,853,610人のデータを用いました(平均53歳、男性46%)。
100万人を超えるデータなので、信憑性が高そうですね。
その研究から、抜粋します。
・定期的に運動を行なっている人は、感染のリスクが少ない(11%)。
・定期的に運動を行なっている人は、入院(36%)・重症化(44%)・死亡リスク(43%)が少ない。
・1週間に150~300分間の中程度運動、もしくは、1週間に75〜150分の高強度運動が、その恩恵が最大となる。
・本データは、オミクロンではなく、デルタ株の患者である。
中程度の運動とは、ジョギングなどの少し息が切れる軽めの運動です。
高強度の運動とは、ランニングや筋トレなどの体に強い負荷がかかる運動です。
研究対象が、オミクロン株ではなくデルタ株であることに注意してください。
しかし、本研究の研究者は、「中程度の強さで定期的な運動によって、体の抗炎症反応、心肺機能、筋力を高めるのに役立つ可能性があり、これら全てがCOVID-19の重症度に対する有益な効果を説明している。」
と示唆したうえで、
「私たちの調査結果は、十分な身体活動を行うことでの保護効果を強調しており、深刻なCOVIS-19のリスクを軽減する潜在的な利点がある。」
と結論づけています。
要するに、「運動しよう!重症になりにくいから」と言うとこですね。
運動効果はコロナウイルスだけ?
では、他の疾病等と運動の関係はどうでしょう?
身体運動はインフルエンザの死亡率を減少させることが報告されています。
また、150分〜300分/週の中程度の運動を行うと、心血管疾患による死亡リスクが31%減少し、全ての原因にによる死亡リスクが全体で19%低下することも報告されています。
以上の理由により、中程度から高強度の身体活動は、デルタでもオミクロンでも感染による死亡率を減らす効果があると思われます。
少しずつ運動を行うと、いいことが起こりそうですね。
参考文献
1 Physical activity and risk of infection, severity and mortality of COVID-19: a systematic review and nonlinear dose–response meta-analysis of data from 1 853 610 adults, British Journal of Sports Medicine , 2022.
2 Wong C-M, Lai H-K, Ou C-Q, et al. Is exercise protective against influenza-associated mortality? PLoS One 2008;3:e2108.
3 Long-term leisure-time physical activity intensity and all-cause and cause-specific mortality: A prospective cohort of US adults, Circulation , 2022.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?