現代にも鬼がいて
現在も鬼がいる

「どこに鬼がいるのか？」と
訝（いぶか）しがる人には分からない

俺が鬼なのだと 思う時がある
何度もある
鏡に映る 己の形相を見つめ
思う時がある

鬼が怒鳴っているのを
見たことなどないが
きっとあの時の俺は
鬼のように 怒鳴っていたに違いない

人間の両親から生まれ
人間として生まれ育ち
人間として暮らしている

現在は結婚して 子供たちもいる
何不自由なく暮らし
幸せであるはずの家庭に　俺に
いつの間にか　鬼が巣食っている

鬼は いつも顔を出す訳じゃない
怒りに　憎しみに
己の感情を委ねた時
我が物顔で 顔を出すのだ

俺が鬼？

このままずっと
己を鬼に支配させてはいけない

人間は鬼じゃない
俺は鬼じゃない

自らに巣食う 鬼と闘え
心の弱い 己と闘え
荒ぶった 己と闘え

俺は鬼じゃない
俺は鬼になんて負けない

己の鬼との闘いは
これからもつづく