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『ミギとダリ』(アニメシリーズ)

視聴環境:U-NEXT

【内容】
孤児院出身の双子のミギとダリは、1人の人間になりすまし、オリゴン村の老夫妻に貰われる。2人は村に隠されたある謎を解明するために、村の探索を始めるのだか…

※ネタバネします。


【感想】
不思議なテイストや話運びの物語で、なんだろうこの感じと思いながら観ていたのですが、ふと漫画のパタリロ、魔夜峰央の一連の作品群じゃないかと思い至りました。
耽美的少女漫画的なキャラクター造形と語り口と、ギャグ漫画的にカリカチュアされたストリート展開や人物造形…
そして、辛辣さと、摩訶不思議な展開と、そこで繰り広げられるギャク…
変な世界観とストーリー展開で引っ張られていく感じは、ツインピークス感もあるような気がしました。
ツインピークスにおけるローラー・パーマーが、主人公達の母親といっか感じでしょうか…

それから、このヨーロッパぽい舞台もキャラクターたちが、欧米人ぼい人たちと日本人が普通に同居して、良くわからない理屈と摩訶不思議な世界観で、独特な磁場で物語を語って行く…これって70年代とか80年代とかまであった昭和のアニメの雰囲気だなあと思ったりしました。
想像上にしか存在しない西洋社会と嘘っぱちの日本の上流社会人たち…
少女漫画的でもあり、昭和の日本アニメ的でもあり、ある種演劇的でもあり、しかし絵柄はしっかりと今のセンスの作品でした。こうした日本のカルチャーをバックボーンとした色んな意味で濃い作品は、日本人作家じゃないと醸し出せないもののような気がしながら観ていました。
(もしかしたらこの先、日本人より日本に詳しいような外国の作家が、こうした作品を描く可能性は充分あるかも知れませんが…)

最近の現実の世界を舞台にした物語は、世界観とか事態性をしっかりと設定し過ぎて、こうした勢いのある物語の仕方というものがなくなってきているのではないかとも思ったりもしました。まあ下手をすれば、一人よがりのよくわからない物語になってしまう可能性も多大にありそうですが…

それから、主人公2人を初め声優さんも凄い上手し、ノリノリで演じている…
主人公2人の対外的な愛くるしい話し方と、2人だけで話す時の辛辣なクールな話し方、オロオロした時の話し方や、女装した時の話し方とか、大変だったとは思いますがやり甲斐のあり楽しんで演じているのが伝わってきました。
オーバーアクト気味な演技も、これまで培ってきた日本のアニメの声優という文化の中では、許容される範囲の塩梅で、絶妙なラインを狙っている…
登場人物達の美しいキャラクターと、ある種悪意あるカルカチュアされたキャラクター造形と相まって、不思議な世界観が作り出されていました。

キャラクターの動きも、特にミギとダリの動きも、時々かなり変な動き方をされていたのもこの作品の独特な魅力となっていると感じました。普段は颯爽として美しい2人が、人から見えない所では、ある種この世ならざる異様な動きをする場面は、強烈な違和感と共にこの作品に引き込まれる要因となっているとも感じました。

最終話の展開は、もう一段階へのサプライズ…
思わずロホリとしてしまいました。そこからのラストのエンディングの映像がより感動的でした。
チェリーパイの扱いも最後までしっかりと主人公とその家族の絆を象徴するものになっていて…
ちゃんと全てのキャラクターを描き切って、更にラスト2分でしっかり完結させているのも良かったです。

面白いらしいとかなり話題になっていたので、観てみたのですが、これはこうした連続もののアニメとかドラマとしては、ある種最適な話運びなのではないかと思ったりもしました。
良くありそうな設定に、ありえないような奇抜なアイデアを載せ、先の読めない展開をさせて、興味の持続をさせていく…
今の視聴者は、ドラマやアニメを見続けていて、ちょっと観ただけで世界観や先の展開が読め過ぎしまい、物語を見続けることの興味を失ってしまうのではないか…
そんなあれやこれや観ている時も観た後も考えがまとまらない…
というか書き始めると止まらなくなるので、ここら辺で書くのをやめておきます。

※画像は生成AIで作成しました。

https://migitodali.com

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