「やあ、皆さん、ご機嫌よう。えっ？僕は誰かって？僕こそ誰よりもご機嫌な、いぬうた市の、きゅんです。はぶあないすでぃ。皆さん、調子はどうですか？えっ、僕の調子はどうかって？僕こそ誰よりも全好調なのでありまして。えっ？何でそんなに絶好調なのか？って。それは見て分からないかな？ほら、僕のこの笑顔。この笑顔に秘密の理由がありますよ。この満面の笑みにあるでしょ。つるつるきらきらぴかぴかと白く輝くモノが」
と、きゅん君、わざとらしいまでに、口角を上げた笑顔で、
何やら訳の分からないことを言っていますが、
確かにご機嫌で絶好調らしいのだけは伝わってきました。
でも何でそんなににやけているんでしょう？
その笑顔に隠されていると言われても。
「なんで分からないのさ。それこそ一目瞭然だと思うんだけど。まあ、いいや。分からないなら教えてあげるよ。答えは歯だよ。歯。僕の歯、とても白くてキレイになったんだよ。今日、ママが僕を歯石取りに連れてってくれたんだ。気分はまるで生まれ変わったようだよ。なので、この、ニューきゅんをどうぞよろしくー。ナイストゥミートゥ」
なるほど。言われてみれば、いつもより、
きゅん君の歯が、ぴかぴかしているように見えますね。
「ぴかぴかどころじゃないよ。つるつるきらきらぴかぴかだよ。僕、結構歯石が溜まっていて、ママがそれを気にしてくれて、やっとのことで、今日、近所のペットサロンで予約が取れたから、念願叶って行って来たという訳」
それで、さっきからずっと歯をむき出しにした笑顔で、つるつるきらきらぴかぴかを、
アピールしてたんですね。
「そういうこと」
と、きゅん君、更に歯を見せて、
より笑顔に花が咲きました。
ぐーちゃんはまだ若いから、歯石も溜まっていないので、
今日は、きゅん君だけがママと行って来たようです。
歯石が溜まると歯周病の原因にもなりますから、
ママもこれで一安心なのではないでしょうか。
「うん。ママ、とっても喜んでくれたよ。僕はそれが何よりも嬉しいんだ」
と、きゅん君の、つるつるきらきらぴかぴかの、
歯がまた光りました。
これはぜひとも大切にしたいですね。
では、今後の課題はいかにキープすることですね。
「そうだね。そういうことだね」
と、いうことはやっぱり、食後の歯磨きと、
いうことになるのではないですか。
きっとママもそう思っていると思いますよ。
「えっ？そういうことってそうゆうこと？」
ここで、きゅん君の顔がみるみる曇りました。
みるみるつるつるぴかぴかきらきら、きゅん君です。
「あー、歯磨きかあ。歯磨きはなあ」
けど、きゅん君、ママが歯磨きをしてくれるということは、
ママが抱っこしてくれるということですよ。
すると、きゅん君、再びみるみる笑顔になります。
「そうかあ。そうだよね。じゃあ、僕、歯磨きがんばるよー！そして僕はいつまでも、つるつるぴかぴかきらきらだあ！」
と、みるみるでれでれつるつるぴかぴかきらきらな、
ニューきゅん君なのでありました。