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門が閉まるの確認

「はい。今日もお散歩を終えて、無事におウチに帰って来られました。では、あとはよろしくお願いしますよ。万が一、玄関ドアさんが開いていて、ぐーや、きゅんがお道に飛び出さないように。そしてどなたか怪しい方などが入って来ませんように、このおウチを守って下さいね」
と、いぬうた市の、ぐーちゃんが誰にお願いしたか、
というと、きゅん君と、ぐーちゃんの家の
ちょびっとの庭と駐車スペースの敷地内と、
道路の境目にある門にでした。
慎重で心配性のところがある、ぐーちゃんは、
こういった注意はこと欠かしません。
いわば、ぐーちゃんにとって、この門は、
家の砦なので、ママが門をきちんと閉じるのを、
必ず見届けるのであります。
それもちゃんとカチャ!っと音がするまでです。
「よし!今日も門さん、カチャ!っと言われたわね。ぐーには分かっているわ。このカチャ!は、ラジャ!ってことだって」
ぐーちゃんには、カチャ!がラジャ!に聞こえるのですね。
それを聞いて、ぐーちゃん、一安心しました。
しかし、家の中に入った、ぐーちゃんに、
ある疑問が湧きました。
果たして門はこのまま、
じーっとしていられるのだろうか?と。
「例えば、ぐーが今から朝さんまで、じーっとしていなさい。ってママに言われても絶対無理。これを飼い主に言われたら即噛みついちゃうわ。それくらい、じーっとしているのは難しいこと。それなのに、それなのに、門さんたら、ずっとお動きにならなくて平気さんなのかしら?」
そう、ぐーちゃんは思ったのでした。
そして、疑問は疑惑に変わります。
「もしかして、ぐーが知らないうちに勝手さんにお動きになって、何処かに行かれているのでは?」
そんな考えが、ぐーちゃんの中で、
ふつふつと沸き出すのでありました。
しかし、ぐーちゃんには、その疑惑を、
確認する術がありません。
何故なら、ぐーちゃんは勝手に外には出れないからです。
なので推測ばかりが広がっていきます。
「今頃、門さん、お仕事サボって、何処かに行っていないかしら?お隣の門さんにそそのかされて、他の門さんの家に遊びに行ってるとか」
と、ぐーちゃんの妄想は、どんどん広がっていって、
そんな感じなので、最近の、ぐーちゃんときたら、
散歩などで門を通るたびに、
「きのうのお夜、門さん、ちょっといらっしゃらないお時間があったでしょ。ぐー、ちゃんと知ってるんだから」
などと、門に声をかけて、カマをかけたりして、
何とか、門のお出かけを阻止しようとする、
ぐーちゃんです。
大丈夫ですよ。ぐーちゃん。
門は勝手に出かけたりしませんから。たぶん。

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