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きもの本棚⑧着物コーデの理想像が、苦手なはずの森田空美さん監修の本にあった、という思いがけない事実。

半月を過ぎても、猛暑の去らない九月。夏着物の感想は、滑らないから、着崩れゼロ。安心、安心の「麻」対「麻」。長襦袢の袖が飛び出さないかと、気になる日はしつけ糸で止めている。

ちなみに、ひょうたん堂で手に入れた着物と駅ビルの呉服屋さんで長襦袢をあつらえた時とのサイズ比較がコレ☟

【着物と長襦袢のサイズ比較】

  • 身丈162cm (長襦袢159.6)

  • 裄丈68cm (長襦袢68.5)

  • 前幅26.5cm (長襦袢24.2)

  • 後幅31cm (長襦袢29.6)

  • 袖丈49cm (長襦袢49)

  • 袖幅34cm (長襦袢34.8)

夏着物で調子づいた私は、過去に、森田空美さん好きの友人が、越後上布をふわっと着付けているのを見て「これは、手を出せない領域」と、ビビリまくっていた事を思い出した。今なら、イケるかも。私は密かに、森田空美さんの著作を手にとった。

こちら、写真集のような紙面にびっくり。雑誌連載のムック本でした。

こちらは大変、為になった。

斜子織(ななこおり・バスケット状の組織)だの、背伏(せぶせ・単衣の背縫いの処理の仕方)だの、なんだかんだと知らない言葉も出てきたけど、今の私のレベルにはあっていたようだ。訪問着から始まって、浴衣まで続く中に「花織」と「綾織(あやおり・ツイルのこと)」にページを割いてある本は、初めて見たぞ。また、衣替えを半月ごとに区切っていて、三月から春の装いで登場する一越縮緬(鬼しぼ縮緬が、厚手)や紋綸子などの薄手の絹と紬を、五月から、単衣にしていて、六月下旬になったら、透けない夏紬・絽縮緬・夏結城、結城縮を単衣向きの素材として扱っている。続く、夏の薄物は透けない薄物から、上布などの透ける薄物に進む。そして、盛夏には、格子状にポツポツをあけた絹紅梅、綿紅梅が加わる。とんでもなく、ややこしいが、売り場の都合で押し付けられないよう、覚えておきたい。

森田さんといえば、紬か麻だけかと思っていた私にとって、他にも驚くことがあった。

こちら、事典式なので、きらびやかな「フォーマルきもの」のページから、始まる。フォーマルは駅ビルの呉服屋さんの催事に行くと、最初に案内されるコーナーだ。あいにく、私には喪服と同じくらい、縁遠い。混乱するばかりなので、化繊とアンティークとフォーマルには、しぱらく、近づかないと決めている。フォーマルに合う帯は金糸、銀糸。地が金色をしていなくても「佐賀錦」ならばわかりやすいが「綴帯(つづれおび)」や「唐帯(からおび)」もフォーマル用なので、注意が必要だ。フォーマルの帯の柄としては①宝尽くし、松竹梅、扇などの「吉祥文様」②「正倉院文様」③鱗文、花菱文、亀甲文、七宝文、浮線綾文で知られる「有職文様」④牡丹唐草、吉野間道「名物裂文様(めいづつぎれもんよう)」がある。逆に、箔や①②③④の柄を使った名古屋帯は、色無地・江戸小紋・小紋にも合わせられ、私の射程圏内というわけだ。

今回、あらためて思ったのだけど「小紋」って、柄の付け方による仕分けのことで、「小紋」の中にもフォーマル用の柄(無地場が多く、箔がある)とカジュアル用(柄が詰まっていて、光沢がない)があるわけだ。同じように「江戸小紋」もフォーマルOKの柄とカジュアル用の柄がある。以前、売り場でフォーマル用に「宝尽くし」の柄を薦められたことがあったが、オメデタイ宝尽くしなら、フォーマルとおしゃれ着のグレーゾーンなのかしら❓ 

そして、私は見つけた。「大小霰(大小あられ)」の江戸小紋とお太鼓柄の帯のコーデが「カジュアルきもの」のページにあったのだ。キャプションには「和の観劇に」と書かれているが、こういうコーデを国立劇場で良く、見かける。こういうのが欲しい。

ちなみに、前出の『七緒』の特集では、民芸ライターの田中敦子さんが「スーツ系小紋」とジャンル分けした小紋があった。三味線では、群舞のポジションを「連れ」と呼び、控えめな音量で弾く。そんな脇役の小紋とでも、呼びたくなるような、柄を同系色でまとめた小紋だ。これも、良かった。

一年弱、右往左往して、ようやく、自分に必要な着物がわかった。

後は、どこで手に入れるかだ。

#わたしの本棚


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