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着物警察、温泉に現る❗️

本日は、着物初心者がしでかすエラーに、イエローカードを提示する着物警察のお話です。舞台は東北。紅葉シーズンも早々に「秘湯を守る会」の温泉宿を訪れた。

部屋の窓から、紅葉の山を眺める


昭和の高度成長期、ホテル化する旅館を憂いた朝日旅行の創業者・岩木一二三氏が、東北地方のバスも通っていないような温泉宿を集めて作ったこの会のメンバーは、未だ、家族経営の宿が多く、宿泊客は情報交換を密に交わし、山菜が絶妙に美味しい宿の人手不足を補っている。源泉の風呂の湯が熱ければ「水が出るわよ」と蛇口をひねり、洗い場のシャワーがぬるければ「私が使っていたところなら、熱いお湯が出ますよ」と助言しあうのだ。

旅館の浴衣といえば筒袖。寒いのでどてらを羽織る。

川沿いの露天風呂は混浴で、脱衣所の木戸の向こうは一歩進めば風呂の縁という素朴さだ。露天風呂の脱衣所に壁はあるが、どうにも落ち着かない。素早く着替えたつもりが、とんでもないミスを犯した。入浴後、ロビーに用意された冷たい温泉水を飲んで、一息ついていると、同じ浴衣を来た宿泊客のひとりが、しずしずと近づいてくる。そして、こう言った。

「裏返し、裏返し」

宿のドテラは厚手のジャガード。麻の葉の文が織ってあった。脱衣所で浴衣を脱いだ際に裏表にして、そのまま着て、出てしまったのだ。

と、これは我が夫のお話。私は、そんなミスしません。私が出会った着物警察は、歌舞伎座の地下のブロマイド売り場で、羽織りの襟を整えてくれたお方。襟、折れてなかった。『銀太郎さん…』の主人公・さとりちゃんと同じく、当面は着物警察に守られていたい私なのであった。

#みんなでつくる秋アルバム

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