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痛い風のこと vol.2

vol.1 はこちら

あらすじ:GWに旧友と楽しく飲んだ帰宅中、左足の付け根に違和感を感じる。帰宅してさらにビールと禁断のペヤングを煽っているときに確かな痛みを感じ、何かを察した私であったが......。


このとき僕はまだ「痛風」の可能性を検討していない。
なぜなら、以前にも同じような痛みを感じたことがあったからだ。

あるとき、緊張感の続く取材が終わった後で、弊社コピーライター淡水氏と渋谷の焼き鳥屋で一杯やっていたことがあった。
トイレに向かう途中、親指あたりに違和感を覚えた。痛いというほどでもないけれど、筋肉痛のような気だるさとでも言おうか。そういえばこのときも左足だった。
当時、ジョギングにはまっていたのでその影響かと思っていたが、違ったのだろう。
あの日、飲み終わりにバス乗り場に向かうまでの「ぴりっ」のときと、痛みの種類は違うけれど、同根という気がした。根拠はないがたぶんそうだと思う。

もう一つ兆候はあった。

ある時期、ジョギングで出社していた。朝から走り、シャワーを浴びてから仕事をするのはとても気分が良い。ただ、うちからオフィスの間には246のキッツイ坂があり、足をやってしまったことがあった。
最初は軽い捻挫だろうと思っていた。その日の帰りの電車の中で、かなり痛みがひどくなっているのを感じた。
走った感覚では足首の捻挫だと思っていたのだが、足裏の「あの」ポイントにも痛みはあった。


焼き鳥屋のときも、ジョギングでやってしまったときもアルコールは控え加減だったので、兆候はありながらも事なきを得たということかもしれない。

しかし、2度の兆候があり、疑ってもよさそうなのになぜ痛風の可能性を考えなかったかというと、経験者の言葉が印象に残っていたからだ。

「風が吹いても痛い」とよく言われるが、実際の経験者の言葉はもっと過激だった。

「ブルドーザーで一回上から潰されて、そこをほじくられる」
「足の内部にナイフを入れられて滅多刺しにされている」
「折れた骨を、無理やり動かされていような」

こんなふうに聞いていたので、「ちょっとぴりっとくる」程度やジョギング後の捻挫のような痛みとは、次元が違うだろうとたかをくくっていたのだ。

家での「しめのみ」はさっと切り上げて、シャワーを浴びて床についた。
酒も入っているので、寝入りはすっと寝られたと思う。そのあと、鈍い痛みで目が覚めた。
「どこか怪我したかな?」
と思いベットから立とうと、左足を床についたとき激痛が走った。左足裏を床につけないように、左足の側面をつかってあるく。仔細に患部を検討するが、そこまで見た目に変化はない。
あるいは親指あたりにヒビがはいっているのかもしれない。患部を恐る恐る触る。そこまで痛みはない。親指を曲げてみる。鈍い痛みが走る。
もし仮に折れていたら、足は腫れているはずだ。しかし、捻挫にしては痛すぎる。

救急車を呼ぶほどでもないと判断した僕は、患部を冷やしつつ、再び床についた。


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