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期待感と空虚さ

「毎日何かいいことが起きないか期待している。
それがどんなことかも想像せずに、
何となく良いことであってほしいと願って、
それで何となく過ごしている。
それで何ともないのがいいことかもしれない。
それは期待と違ったかな。
それで良かったのかな。
振り返ったり、そうしなかったり、
そして、空虚さは漂うけども、
悪いことも起きていない。
何となく穴が空いたように。
でも、言いたいことは思ったようには言えなくて、
それは自分に言葉を操る才能が足りないからか。
それはそれでいい。
別に期待していないから。
でももどかしくもある。
何を言えば言いたいことが言えたことになるのか。
それが分かりづらくて。」
「ほう。そうか。
それは困っているのか。
でもない様子だな。
詩でも詠んでいたつもりか?
それは結構なことだ。
どうした?俺にどうしてほしい?
何もないってことはないだろう?
何か言ってみてくれ。」
「ああ、言いたいことがわからない。
それは貴方のことじゃなく、
私のこと。
さて何を何と言おうか。
上手くやりたい訳でもない。
何となくセリフの出てこないつまらなさよ。
興醒めだろう。
私は思ったよりボキャがない。
言いたいことが分からなくなる。」
「詰問してほしいのか?
うん?
俺が言いたいのはな、お前はお前でそれでいいってこと。
別に言ったからって、そう答えようとしても、
それが誠実とは限らないんだぞ。
どういうつもりなんだかな。
何となく試してみただけ。
それはそれでいいことだろ。
俺の言うことを真に受けなくていいぞ。」
「嘘を言え。嘘を。
それは私でも間違いだと分かる。
いや、間違いというか嘘だな。
まあ、間違いか。」
「そら来た。それそれ。
ははは。面白いだろう。
何のことだかは分からなくていいぞ。」
「まだまだ見せ場が足りないぜ。
どうするんだ?」
「言いたいことを言えばいいだろう。
チャンスをくれてやるよ。
ふいにするな。」
「うーん。
本当に何を言えばいいか分からない。
自由にも困ったものだ。」
「そうだ!
それがいい。
それをやろう。
意味不明なことがいい。
それで良かったんだよ。」
「ああ、そうか。
言いたいことはあなたにあるんだな。
気づかなくて悪かったよ。
さっさとしろ。
ちゃんとしろ。
チャンスなんだから。
ほら。」
「そうだ。
それでいい。
それでいいんだ。」
「こりゃ参ったな。
これは面白いがな。
それやれ。」
「何かに乗ったか?
何に乗った?
今日は朝から何してた?
それを俺に教えてくれないか?」
「言うまでもないよ。
それはそれで良かった、良かった。
意味はなくても相変わらずのことだから、
それでいいと思う。」
「ああ、言いたいことは不満がないことか。
それはいいな。
俺もそうだ。」

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