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つわものどもが夢のあと(コロナ罹患とその後)

 2週間ちょっと前の事。不覚にもコービッド19に罹ってしまった。いつものようにリモートで仕事中、お昼近くになり突然の悪寒。変だなと思っていたら仕事に出かけたはずの夫が帰って来た。高齢者施設で働く夫は週二回職場でコービッドの検査があり、それで陽性が判明して速攻で帰らされた。一週間出勤しないようにとのこと。「君も具合悪いならきっとコービッドに罹っているよ。」と言われ自宅検査キットを初めて使ってみた。ガーン、わたしも陽性だ。夫は職場でコービッド19のワクチン3回打ったけど、自分は一度も打っていない。それで、3年平気だったから内心もうかからないんじゃないかと思っていた。

 悪寒と熱の温度は比例するようだ。ゾクゾクして節々の痛みが増したと思うと熱がさらに上がっている。30年近くアメリカにいるけれど、体温は摂氏に換算しないといまだにどうもピンとこない。102F(38.8C)が今回の最高値だった。普段割と丈夫なほうで、風邪もめったにひかないから、最後に高熱が出たのはいつだっただろうか?思い返すと5,6年前日本そばが食べられるかどうか試してみてダメだった時に高熱がでたことがあった。自分は子供の頃、温かい蕎麦を食べると毎回気持ちが悪くなった。二度手間だと母に文句をいわれながらも年越し蕎麦はわたしだけラーメンを作ってもらっていた。とはいえ蕎麦ぼうろやそば粉のパンケーキは食べても大丈夫で、ざるそばはなんとか食べれたこともあるので蕎麦アレルギーとも違うのかもしれない。もしかしたら大人になってもう大丈夫になっているかもしれない、と、カップめんの日本そばを食べてみたら数時間後に嘔吐と下痢と発熱で大変な事になった。それ以来蕎麦は食べないよう気を付けている。

 昔うちの母親は風邪の時は治るまで風呂に入るなと言っていたけれども、今回悪寒と関節の痛みが酷いために自分の判断で、悪寒が酷くなるたびに熱めの風呂に入った。身体を温めると直後大分楽になり風呂から上がった後はぐっと深い眠りに入ることができた。そのほかにも布団の中に湯たんぽを入れて足がいつも温かいようにした。

頼りになるお粥モード。


 私にとって体調が悪い時の命綱は炊飯器のお粥機能である。アメリカ人の夫と結婚して割と早い時期に一度私が病気になったとき、夫がマカロニチーズを作って出してくれた。とてもマカロニチーズを食べられる体調ではなかったが、せっかく作ってくれたのに悪いと思い、少し食べた。そして、同日の2度目の食事に、夫が再びマカロニチーズを作って出してきた。(当時マカロニチーズとサンドイッチしか作れなかったらしい。)それは結構なカルチャーショックで、それ以来具合が悪い時に夫はあてにならないという観念がついてしまった。自分が何とか立ち上がってキッチンまで行って米を炊飯器にセットできれば小一時間うとうとしている間にお粥ができる。それで今までどうにかやり過ごせてきた。ところが、だ。今回初めて、米を洗い炊飯器にセットする水を浄水器から汲んでいる間にどうにも気分が悪くなってキッチンの床にしばらく倒れこんでしまった。少し息がととのうまで待ってもう一度立ち上がりお粥モードをセットしてから逃げるように布団に戻った。私とは逆に、夫はお粥が嫌いだ。米の粥だけでなくオートミールとかどろどろしたもの全般が食べられない。彼はものすごく具合が悪い時は何も食べない。そして、少しでも回復すればいきなりピザとかを普通に食べる。今回も私がなんとかお粥と梅干しで過ごす間、冷凍ピザやらブリトーなどを温めて食べていたようだ。二人同時に病気になったらお互い自分の世話しかできないのが良く解った。

 あまりすぐに解熱剤を飲まないで身体がウイルスと戦ったほうが良いのかと思い、初日は薬を飲まなかったが、二日目頭痛が酷くてタイレノール(アセトアミノフェン)を飲んだら熱がすーっと下がり体感もほぼ通常くらいに戻ったので、タイレノールが効いているうちに食事をした。薬が切れると熱が上がり気持ちが悪くなる。それで、間をとって一日に一回だけ解熱剤を飲んで熱が引いたタイミングで食事をすることにした。三日ほどで熱はだんだん下がり、五日目に一度ぶり返した後平熱に戻った。

 今まで自分があまり風邪をこじらせないで済んでいたのは、いつも「あれ、ちょっとなんかおかしい」という風邪のひき始めのときに大量に白湯を飲んで悪いものを速やかに排出するようにしていたからなのだが、今回は二日目あたりで口の中に金属のような味がして水を大量に飲むのが難しくなった。レモン果汁を混ぜたり、梅干し湯にしてみたりしたが、普段なら飲めるものがものすごく不味い。口から水分を接種するということは健康だからできることなのだなと体感した。これからは他人が具合悪い時にああすればいい、こうすればいいと簡単に言うのは止めようと思った。

 パルスオキシメーターを家に用意していなかったので、血中酸素濃度がどうだったのかわからないが、フィットビットの心拍数がCovid19発症に伴ってドーンと一気に上がっていたのにも驚いた。そして、熱が引いた後も心拍数は高いままで、一日に2拍くらいずつゆっくりとしかテンポでしか下がらなかった。今ほぼ通常の心拍に戻っているが、なんとなく体感で呼吸が浅いような気がするのでまだ運動とかは再開していない。先にCovid19に罹った友達に「なんだかんだ一か月くらい疲れやすかったよ。」と聞いたので、そういうものかと思って暮らしている。仕事はリモートなので、熱が引いたらすぐに復帰した。

フィットビットは自分が高熱が出ていた時間帯を「軽い運動」を12時間ぶっ通しで続けて1024キロカロリー消費したと記録した。

 丁度私たちが自宅隔離をした2月の下旬に「米エネルギー省がコービッド19の起源が、研究所からウイルスが流出した可能性が最も高いと結論付けた。」というニュースが流れた。もしも兵器として開発されたものに罹り、なんとか自力で回復したのだったらと思うと、今更ながら足がすくむ思いだ。