大きなかたまり肉の調理が苦手だ。日本でひき肉や薄切り肉しか調理したことがなかったからアメリカに来てすぐの頃、肉売り場で売られる肉の単位の違いに驚いた。昨年新型コロナが流行りだしてステイホームが始まる直前の3月半ば、最後にオフィスに出た日に立ち話をしていて部長が「食料が心配だからあした牛を４分の1頭買って来るつもりだ。」と言った。それを聞いたとき、うーんやっぱりここはでは食べる肉の単位が違うと思った。

触るのが苦手

スペアリブは厚みはないが面積が広く、片面脂身もいっぱいついているし自分で取り組みたくない肉の部類だ。だけど夫はバーベキュースペアリブを食べるのが大好き。なので、たまにテイクアウトで買う。私は面倒くさがりだが彼もたいがいひどいので家のグリルでリブは焼かない。SNSのインスタントポットユーザーグループでアップされるスペアリブのレシピはおおむね高評価で、作り方は以前に書いた鶏手羽元のなんちゃってバーベキューに似て、圧力鍋で蒸してからBBQソースを塗って焦げ目をいれる方式なので、私の苦手意識のハードルも下がる。鶏手羽元はオーブントースターで焼けるけれど、リブのほうがトースターより大きいので今回は本物のオーブンを使う。

セントルイススタイル

買ってきたのはセントルイススタイルという幅が狭めのリブ一枚。これくるくると巻き物にしてインスタントポットの内鍋に入れるようだ。セントルイスでないスタイルのリブでは高さがありすぎて鍋に収まりきらないかもしれない。参考にしたのは下記、Amy ＋JackyのBBQスペアリブレシピ。

元のレシピには脂肪についている薄い膜をナイフでこそぎ取るステップがある。が、脂に触るのが嫌だから私はやらない。圧力調理の前にラブ（RUB）と呼ばれるスパイスのミックスを肉にすりこむ。両面に下味のスパイスを塗らないといけないが、まな板の幅より肉のほうが長くて勝手がわるいので真ん中あたりでキッチン用はさみでバチバチ切ってふたつに分けた。

RUBをぬる

ちょっと思いついて同僚のバングラデシュ人にもらった肉用マサラスパイスもラブに混ぜてみた。レシピどおりにスパイスを酢で湿らせてペースト状にしたものをスプーンの背でまんべんなく肉の両面に塗る。

さつまいも　∩　リブ　の蒸し時間

付属品の調理時間表でチェックするとサツマイモの調理時間の最長とポークリブ調理時間の最短が被っていたのでその、芋かつリブ、双方オッケーな時間(15分）を設定し、付け合わせのさつま芋も一緒に鍋につっこんでしまう。インスタントポットの内鍋に水１カップ入れた上に付属品の金属のスノコを敷き、リブを縦置きにする。スノコの取っ手を利用してリブと内鍋の側面のあいだに蒸気が入る隙間もつける。芋はIn Between 肉。15分強圧で蒸して、圧力が自然に下がるのを10分待つ。

蓋を開けてみるとリブから落ちた水と脂がスノコの上まで上がってきており、さつまいもが一部水没していたので芋もリブと一緒にオーブンに入れて乾かさないといけない。さつまいも15分は長すぎた。トングで掴めないほど柔らかい。芋はたぶん10分くらいでいいのだろう。次回この組み合わせで作ることがあったら、圧力なべでの調理時間は短くしよう。どうせそのあとで焼くのだし。

これほどの量の水分と脂肪が蒸されて下に落ちるという想像がつかなかった。脂がノリノリのリブが好きな人には物足りないだろうが、中高年の私たちは脂がのらないほうがうれしい。バーベキューソースを塗ってオーブンでブロイルする。ソースはいつものSweet Baby Ray'sブランドのプレーンなもの。

片面がが焼けたらひっくり返してもう片面も同じようにソースを塗る。芋もひっくり返す。片側5分程度で焦げ目がつくのにまるで「長時間かけてグリルで焼きました」かのように見間違う出来栄え。

まさしくミートアンドポテートー、な一皿

簡単なのに堂々とした雰囲気に仕上がってお得感満載。すじも肉も柔らかくてぷるぷるだ。甘藷と一緒に食して美味滋養。

作り方
材料
・セントルイススタイルポークリブ　1スラブ
・塩　適量　
・ガーリックパウだー、オニオンパウダー、赤パプリカ、マサラスパイス（オプション）各小さじ1
・リンゴ酢　大さじ２強（ペースト様子をみながら適当に）
・お好みのBBQソース、1/2カップ

手順
・スペアリブの両面に塩をふる。スパイスと酢を混ぜたペーストを両面に塗って少し待つ。
・インスタントポットの内鍋に水カップ1を張って、すのこを敷き、骨が縦に立てかけるようにスペアリブをセット。
・蓋をして強圧15分でセットして調理スタート。圧力調理が終わったら10分まって圧を抜く。待っている間にオーブンを予熱する。ブロイル（温度500 F to 550 F (260 – 290 C.) ）
・取り出したリブにバーベキューソースを塗って片面焼く。焼き色がついたら一旦取り出し、ひっくり返してもう片面もソースを塗って焼く。高温で思いがけずすぐに焦げるので注意する。