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ためらわないこと

7月中旬を過ぎ、梅雨の雨続きで涼しかった海士町でもいよいよ日差しが夏らしくなってきた。今日は久々のピーカン晴れ!そんな日に私はひとり、外には出かけず今日は家でゆっくりnoteを書いている。(本当だったらジャガイモ掘りにサツマイモのつる返し、夜はお祭りのお助けマンの予定だったのにな…)
 
寺子屋の日々は相変わらず毎日が新鮮で、何をやるのか、何を仕入れるのか、その日によって変わるしすぐに予定が変更されることもある。でもそれはごく自然なことで、第一次産業は天気に左右されるのは当たり前。自分の希望通りにはならない。それだからおもしろいのかもしれない。

離島キッチン初日にまさかの250㎏のカジキマグロが揚がった

6月から始まった離島キッチンでの実践演習。その日に使われる焼き物やお造りの魚は魚の入荷によって直前に決まることもあるし、野菜も予想していた通りのものとは違うものが入荷することもある。炊飯や出汁で使う湧き水も天気をみて雨が降りそうだったら事前に汲んでおかないといけない。すべてが自然に左右されているけれど、それを活かせる技術を身に着けられたら人間として強いと思うし、私もそうなりたい。  

もっぱら最近の私の関心は「魚」である。海士町に来るまでは、たまに釣りに連れて行ってもらって持ち帰っても自分ではうまく捌けず、困り果てて正直敬遠していた、その「魚」である。小さい時から魚はよく食べていてとても好きではあったけれど、食べる専門だったので切り身の状態のものばかりしか見ていなかった。一人暮らしをしてスーパーでアジを買って練習してみても骨に身がたっぷりついて無残な姿にうんざりしていた。

そんな私が、授業で魚を触って早3か月、ようやく魚の構造も理解してきて、(きれいに捌けるかは別として)どんな大きさのどんな種類の魚にも自分から触ってみたい!という気持ちになってきた。そして、離島キッチンでの実践演習のおかげで魚のアラをつかって出汁をとることも覚えた。こんなに躊躇なく鯛めしも作れるようになるなんてズボラな私にはとてもすごい変化なのである。今までの生活では魚のアラを見ることもなかったし、必然的にどのようにそれを生かそうかとも考えられることはなかった。

ある日の夕飯:鯛めしと鯛の潮汁

また6月には実際に崎漁港の定置網漁の船に乗せていただける機会もあった。普段は仕入れに行くだけだったが実際に船に乗ってみて、いかに潮や風の流れの把握、網の仕掛け方が重要なのかを学んだ。漁場付近の地形や魚の習性に沿って仕組みが考えられているのも興味深かった。

定置網に入った魚を船に引き上げているところ
いろんな種類の魚が毎日集まる

いかに魚をきれいに捌き切りつけ美しく盛り付けることができるのか、また、どのように切り込みを入れるのか、串うちを上手にできるのか、今の私には課題はまだまだたくさんあるが場数を踏んで少しずつでもできるようになりたい。何事もためらわず挑戦していくことを大切に残りの8か月を過ごしていこうと思う。

ある日の離島キッチンでのお造り

追伸。
でも、ときにためらうことも必要かもしれない!

この1か月、個人的にはいろんな出来事があった。何が原因かわからない食あたり(たぶんおにぎり)、久々の運動時の右脚の負傷(まさかの大開脚…)、すべて日々の生活に支障をきたしているし本当だったら久々に晴れた今日だって外で活動できたはず!(くやしい…)残り8か月を過ごす上で、健康第一が私の裏テーマです。

網に迷い込んだ小さなお魚たち

(文:島食の寺子屋生徒 野本)