無題の詩あるいはささやかな震え

ポストボックスの陰茎に刺さったあなたの良心が
ひどく健気な中学生の入学式に没入した
校長先生の苦悩にも似た教頭のハゲ頭に
唾を吐いた中小企業の社長が吐いたひとこと
震えるほどの怒りを覚えた葛西臨海公園の近くに住む主婦が
子供の夜泣きに耐えかねてタオルケットを蹴飛ばしながら
子供を殺した自責に念に駆られて自殺したというニュースを観て
バンド練習のために秋葉原に向かう途中のブルース奏者が
「おれもブルースやめて働くか」とひとり肩を落とした姿に
ガールズバーが肌に合わなくてコスプレ喫茶に再就職した少女が
あくまでも故郷の風景をいつまでも大切にしているかのごとく
中年のセクシャルハラスメントにおどおどしている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?