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留学先のホストファミリーを通じて見えた今のアメリカ

テレビやネットでよく目にするアメリカ人は、政治家、経営者、俳優など成功している人たちか、犯罪者。意外と一般の人たちのことは分からないのではないでしょうか。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

私には実の両親と義理の両親以外にも、父と母がいます――と言うと複雑な家庭のようですが、アメリカに高校留学したときのホストファーザーとホストマザーです。
二人には4人の子どもがいます。一人っ子の私にとってはじめての兄弟です。

先日、一番上のホストブラザー、ジェイソンと会ってきました。36年ぶりの感動の対面。
留学当時は私が18歳、彼が12歳。そのときの6歳差は大きいですが、今となっては56歳と50歳で同年代です。
見た目は面影があるのに、声が太くなっていたことに違和感があり、慣れるまで時間がかかりました。

このホストブラザーと話していて気づいた、アメリカの現代社会に住む普通の人々が直面している問題についてご紹介します。



物価高と金利高

アメリカのインフレは期間、規模ともに日本を超え、庶民の生活を直撃しています。賃金も上昇しているとはいえ、昇給のペースが追いつかないことも。

好景気が続き、人口も増えていることから特に都市部の住宅費が急騰しています。人々はたまらず郊外に引っ越しするため家が値上がりする地域も拡大。
さらに金利も上がっているので、住宅ローンを組みにくくなっています。

かつてアメリカでは、高校を卒業したら家を出てそれっきり帰ってこないという人が多かったように思います。
今は外で住むのは高すぎるので、いつまでも実家にいる、という人が増えています。


戦争が身近にある

私の留学中にさかのぼりますが、アメリカ軍がリビアの首都を空爆する、ということが起こりました。リビアがテロ支援国家と考えられていたときのことです。
その様子をニュースで見た私は、自分の滞在している国が戦争状態になったことに衝撃を受けました。翌日、学校ではお通夜のようになっているのでは…と思いきや、「やってやったぜ!」と大喜び。地元のスポーツチームが優勝したような大盛り上がりでした。

ホストファミリーの4人の子どものうち、ジェイソンは大人になってから陸軍に所属し、紛争末期のボスニアに派遣されています。
もう一人のホストブラザーも従軍経験があります。
ちなみにホストファーザーもベトナム戦争のときに軍隊にいて、佐世保にいたこともありました。

これだけ軍人を輩出するのは一般的ではないとは思いますが、私が留学していた高校の同級生30人の卒業後の進路は、2人が陸軍、1人が海兵隊でした。
30人のうち男性は半数で、当時の米軍は今以上に女性が少なかったことを考えるとかなり高い割合です。

アフガニスタンやイラクだけでなく、リビアやボスニアのように軍事介入や平和維持軍の派遣など戦争への関与が続いています。ニュースで目にするだけでなく、家族など周囲には軍の関係者が多いことでも戦争がかなり身近にある国と言えます。


二極分化する政治

アメリカ人は共和党支持か民主党支持かを明言する人がもともと多いですが、それが先鋭化しているニュースが日本でもよく紹介されます。
政治家が舌戦を繰り広げるだけでなく、デモで小競り合いになる様子も見ます。

双方の主張に耳を傾けると、どうも民主党の方が主張がまとも、と言うか普通に聞こえます。
共和党は人工中絶の禁止を推進したり、銃乱射事件が後を絶たないのに銃規制に反対したり、またトランプ元大統領やその一派が過激な発言を繰り返したり、なんだかなあ…と思います。

ホストファミリーは共和党支持だと分かっていたので、ジェイソンに会う機会にその真意を聞いてみたいと思っていました。

まず当然の前提ですが、共和党支持だからと言って、共和党のすべての政策を正しいと思っているわけではありません。
個々に聞いてみると、なんだかなあと思うこともあるようです。

その上で、アメリカの伝統的な家族の価値を守ってくれるのは共和党、という思いを強く感じました。

ホストファミリーは中西部の小さい町にいる白人家庭で、敬虔なキリスト教徒です。
差別はいけない、とは強く思っていますが、同姓婚など家族や社会の在り方を変えるような変化には不安を持っています。
また、弱い人たちを保護する必要性は理解しつつも、働けるのに働く気のない人にまで税金を使うことにも疑問を感じています。
勤勉で、信心深く、家族を大事にする、これまで典型的なアメリカ人の社会が維持できるのか、危機感を持っているように感じます。

ちなみに私は外部者としてアメリカを知ろうとしているだけで、選挙権もないアメリカの政治についてとやかく言うつもりはありません。
ただ、共和党を支持する理由が垣間見れたことは意義があったと思っています。


おわりに

ジェイソンやその家族から、日本のこともいろいろ聞かれました。
「日本はこうだよ」と話しながら、果たして私自身は日本や日本人のことを正確に理解しているのだろうか、と思いました。

ここに書いたこともたった1家族の話ですので、アメリカを代表しているかどうかは分かりません。しかし、実在する家族の話です。
皆さんがアメリカを理解する一助になれば幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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