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炎上プロジェクトに追加メンバーとして放り込まれたら

まったくうまくいっていないプロジェクトがあり、てこ入れのためにメンバーを追加投入。そのメンバーに選ばれてしまったら… ニッチなテーマのようで、結構あるんじゃないでしょうか。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

一般の事業会社でも、監査法人でも、役所でも、組織というものにはプロジェクトがあり、プロジェクトはだいたいが課題を抱えながら進むものです。
さらにプロジェクトの中には大混乱していたり、あるいは開始前から悲惨な状況が予想されるものもあります。

一般事業会社であれば、うまくいっていないシステム導入プロジェクト。
監査法人であれば、巨額の不正が発覚した監査現場。
役所であれば、首長の思いつきでまともな計画もなく立ち上がる突貫工事的なプロジェクトでしょうか。

そんなプロジェクトに参加してくれと声がかかることがあります。
炎上している責任は自分には1mmもないのに、とんでもない苦労は約束されている。しかし仕事なので、たいていは断れません。



追加メンバーだからできる炎上プロジェクトへの貢献

プロジェクトに追加投入されるあなたは、言ってみればサッカーのセカンドハーフ終盤に選手交代でピッチに入るようなもの。

周りの選手はへとへとになり倒れそうな中で、一人だけ元気な状態です。
違うのは、サッカーは泣いても笑っても笛が鳴れば終わるのに対し、多くのプロジェクトでは終わりが見えないこと。

巻き込まれてしまったあなたに、できることは何でしょうか?

既存メンバーを鼓舞する

炎上プロジェクトのメンバーは、心が折れそうになっていたり、とっくに折れて無心に手だけを動かしているような状態。

そんな中でいきなり快活な冗談を飛ばしてもスベる可能性大ですが、様子を見ながら、周りの人たちに声をかけていきましょう

既存メンバーが拾えていないタスクを拾ってあげる

炎上プロジェクトに長くいると起こる症状の一つに、視野狭窄があります。
視界が極端に狭くなり、目の前の作業しか見えていない。

誰にも見えていないところには、タスクがごろごろ落ちています。
しかもすでに発火しているものもあり、放っておくことでかえってチームの仕事を増やしてしまっています。
既存メンバーは、仮にちらっと見えたとしても、そこに手を出す余力も気力もありません。

そんなタスクをほいほい拾って処理することができるのは、あなただけです。

既存メンバーには見えていないプロジェクトの問題やリスクに気づく

タスクと似たような話ですが、プロジェクト全体を俯瞰して見ると、うまくいっていない原因や、もっと問題が大きくなるリスクが見えることがあります。
これらも視野狭窄になっている既存メンバーには見えていないか、見えていてもぼんやりとして焦点が合わず理解できていません。

そんな問題やリスクに気づいて、既存メンバーに伝えることもあなたにできることです。


あなた自身の将来のためにできること

これまで「追加メンバーとして、どのようにプロジェクトに貢献できるか」をお話ししてきました。
しかし、意識の持ち方次第では、あなた自身の将来のために役立てることができます。

こちらの方が、今回の記事で言いたかったことです。

スキルを学ぶ

まず、システム導入や不正など、そのプロジェクトに必要なコアスキルを学ぶことができます。
炎上プロジェクトは遅延を挽回して早く終わらせないといけないので、短期間で学べることがメリットです。

また、プロジェクト・マネジメントについても二つの観点から学べます。

  • 大混乱の中でプロジェクトを前に進める方法を学ぶ

  • そもそも炎上した原因に気づくことで、最初から失敗させない方法を学ぶ

人を観察することで学ぶ

悲惨な状況の中で、リーダー、メンバー、その他の関係者はどのように動いているのかを客観的に観察することができます。

特にリーダーを観察すると、リーダーの動き方、決断の仕方、メンバーへの声のかけ方、チーム外の関係者とのコミュニケーションなどが見えてきます。

すべてが100点満点のすばらしいリーダーはまずいないですが、それでも構わないのです。
「あんな言い方されたら嫌になるな」
「そこは決断するところでしょ」
「肝心なときにどこにいるんだよ」
反面教師としても、勉強になります。

修羅場を経験する

昭和っぽい言い方になりますが、「修羅場が人を育てる」とは多くの経営者が認めるところです。

修羅場でどんなスキルが磨かれるのか、具体的に分解することは難しいですが、「少々のことで動じない」「度胸がつく」「腹が座る」なんてところでしょうか。

たいへんな状況の中でも冷静でいられると、適切な判断ができ、結果的にプロジェクトを成功に導く確率を上げることができます。


おわりに

今回は、炎上プロジェクトに投入されたときに「どう活躍するか」「そこから何を学べるか」をお話ししてきました。

ここでは追加メンバーとして参加する前提でしたが、リーダーとして参加するときはこれとは別世界になります。別の機会に、炎上プロジェクトを任されるリーダーをテーマに書いてもおもしろいかもしれません。

いずれにせよ、炎上プロジェクトは勉強になることが多いと思うのですが、一点だけ留意事項。
自分の健康は自分で守りましょう。
メンバーの健康にはリーダーも責任があるはずですが、炎上プロジェクトではリーダーも疲弊し、余裕がありません。
倒れてしまう前に、少し休む。本当に無理なら外してもらう。そんなことも必要になります。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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