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#1646 「学び方」と「対話の仕方」を学ぶ授業

私は最近、「概念的知識」「見方・考え方」の重要性を記事にまとめている。

これらは本質的で抽象的で汎用的なので、未知の問題解決場面においても、活用・転移させることが可能となる。

しかし、上記のような「概念的知識」「見方・考え方」だけではなく、同時に「学び方」も学ぶことが重要となる。

なぜなら、「学び方」というものも、本質的で汎用的だからだ。

学校を卒業して、社会に出てからも、生涯学習は続いていく。

つまり、先生がいなくても、自力で学習をしていかなければならない。

よって、学校教育の段階では、「学び方」という「手続き的知識」「技能・スキル」も学んでおく必要があるのだ。

このことを裏付けするように、最近の教育界は「学び方ブーム」となっている。

「自由進度学習」「自己調整学習」「けテぶれ×QNKS」などの自己学習が流行している。

このような自己学習の習慣を身に付けることができれば、「学び方」を身体化していくことができるだろう。

このような自己学習は「個別最適な学び」に属すると言える。

しかし学校教育では、「協働的な学び」という概念も必要である。

自己学習は「独りよがり」で「孤立した」学びとなってはいけない。

他者と協働・対話・交流をする「協働的な学び」も重要となるのだ。

ということは、「学び方」と同様に、適切な「対話の仕方」という技能・スキルも身体化していくことが望まれる。

「対話の仕方」も本質的で汎用的なものであり、社会に出てからも活用することができるのだ。

以下では、「協働的な学び」をしていくための2つの「対話の仕方」について整理していきたい。

1 ゆるやかな協働における「対話の仕方」

「自由進度学習」「自己調整学習」「けテぶれ×QNKS」などの自己学習は、完全自力学習とは異なる。

同じ教室空間にいる友達と別々の内容を学習しているときでも、助け合いや教え合いは自然発生的に生じる。

いわば「ゆるやかな協働」に支えられているのである。

基本は自分の課題に取り組んでいるが、必要に応じて、友達に教えを乞うたり、アドバイスをもらったりする。

逆に、自分が課題に取り組んでいる途中でも、友達に話しかけられたら、必要な助言やアドバイスをする。

このように、自然発生的な「協働的な学び」が生じるのである。

では、このような場合における「対話の仕方」はどういったものがよいのか?

答えはシンプルである。

自分が話しかけるときは相手の邪魔にならないように、自分が話しかけられたときは相手が気持ちよく学べるように」である。

これは大人の世界でも同じだろう。

自分の課題を遂行していて、他者に教えを乞うときには、相手の邪魔にならないタイミングを見計らって、丁寧に話しかける。

逆に、自分が課題を遂行しているときに、他者に話しかけられたら、自分の課題を一旦止め、相手のために助言をする。

このような「自由の相互承認」を実現する対話が理想なのである。

また、上記の記事でも似たような内容を発信している。

この「対話の仕方」を指導し、「技能・スキル」として定着させることが重要となる。

2 意図的な話し合いにおける「対話の仕方」

学校教育では、自己学習だけではなく、意図的なグループ編成による話し合い活動が組織される。

私は過去の記事で、教師が意図的に話し合いを組織する学習は「オーセンティックな学習」がよいと主張した。

このように、教師が意図的にグループ編成をし、話し合いを組織する授業では、「対話の仕方」が重要度を増す。

では、このような意図的に組織される「協働的な学び」において、「対話の仕方」はどういったものがよいのだろうか?

答えは複数存在するだろう。

「完全に子どもに任せる」という主張もある。

しかし今現在、私は以下のような「対話の仕方」を構想する。

それは「発散→収束」の対話過程である。

この記事の通りである。

これは、「対話のゴール」が「合意形成」であっても、「深化拡充」であっても汎用性のある「対話の仕方」である。

「合意形成or深化拡充」については、以下の記事を参照してもらいたい。

以下に「発散→収束の対話過程」をまとめる。

まずは、課題を解決するために「自力解決」の時間を設ける。

これにより、メンバーそれぞれが自分の意見・考えをもつ。

次に、各々が意見を発表し、解決するための要素を発散的にリストアップする。(ブレーンストーミング)

その後は、各要素同士をつなげ、より高次の次元でまとめる収束過程を踏む。(KJ法)

最後に、高次の次元でまとめたものを共有したり、さらに議論をしたりして、合意形成か深化拡充を図る。

これが「意図的に組織された話し合い」における適切な「対話の仕方」であると考える。

このような「技能・スキル」は大人の世界でも通用する。

実際に「会議」という場でも活用できるだろう。

このような「発散→収束」という「対話の仕方」を指導し、「技能・スキル」として定着させることが重要となる。


以上、「協働的な学び」をしていくための2つの「対話の仕方」について整理した。

これからの対話指導に生かしていき、「学び方」と同様に、「対話の仕方」も技能・スキルとして学んでもらうようにしたい。

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