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ジャーナリングで「思考の深呼吸」を

日頃から考え事が多く、「考えすぎ」と言われるたびに人との距離を感じてしまう。
身近な人に話しても分かってもらえず、背中を丸めて布団にくるまる日がある。
気を遣ってしまい、愚痴や弱音を吐き出すのが苦手。

そんな人におすすめなのが、ジャーナリングです。

ジャーナリングというと、手で書くイメージが強く敬遠される方もいるかもしれません。
しかし手書きだけでなく、音声や、アプリに入力するのもジャーナリングの手法です。

今回はジャーナリングのメリットや、「書く」にとらわれない方法をご紹介します。

ジャーナリングとは

ジャーナリングとは、考えていることを自由に、もしくはお題を設けて書き出し、思考を整理する行為です。

ジャーナリングの先駆けとして有名なのは、ジュリア・キャメロンさんの著書「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」に載っているワーク「モーニング・ページ」です。

毎朝A4のノート3Pにわたり、思いついたことをそのまま書く。
量や時間帯をアレンジして実践している方が多いようです。

内容をジャッジせず「脳の排水」を行うことで、頭の中が整理され、本来人間に備わっている創造性を徐々に発揮できるのです。

また、制限を設けず頭の中が空になるまで浮かんだことを出し切る「ブレインダンプ」という手法もあります。

テーマを設けるのもよし、自由に放出するのもよし。
モーニング・ページより制約がゆるいのが特徴です。

ジャーナリングはこれら2つの手法に似ているものの、決まりごとがほとんどありません。
自由に書くよりは、特定のテーマに沿って考えを深めていく傾向がみられます。

ジャーナリングをすると何がいいのか

では、ジャーナリングをするメリットは何なのでしょうか。
これに関しては、モーニング・ページから始め、4年間ジャーナリングを続けている筆者が実感したことをお話しします。

行き場のない感情を受け止めてもらえる

悩みごとを誰かに打ち明けると、いくらか心がすっきりします。
しかし、何度も同じことを話すのは気が引けますし、人には明かせない胸の内の淀みもあります。

人相手だと気を悪くしないかと遠慮してしまいますが、ノートやスマートフォンに思いの丈をぶつけても、機嫌を損ねることはありません。

何度も同じことを考えなくなる

あれもこれもやらなければ、あのときああしてたら良かった、なぜあの人はあんな態度だったのだろう……。
特定のことが気になり、繰り返し頭の中で考えてしまう状態を「反芻思考」といいます。

いつまでも頭の中で考えているのは、息を吸ってばかりで呼吸ができていないようなものです。

当然ながら、頭の中はイメージすることはできても目には見えません。
そのため、まずは考えていることを見える状態にします。
文章でなく、ぐるぐると形や絵を描いたり、色で表しても構いません。

書籍「メモ活」には、このような記述があります。

脳の中に浮かんだ文字があり、さらに身体的活動があって、加えて書き上がった文字がある。
脳は3度、その文字に接することになる。
※身体的活動……書く行為

「メモ活」より引用

これは「文字」に重きをおいた話ですが、考え事を見える形に表すことで、ものごとを客観的に捉えられるようになります。

頭の中でぐるぐると考えていると、主観的な感情が先走りがちです。
ですが冷静にものごとを捉えると、脳内に余裕が生まれるのか別の考えが浮かんできます。
それをさらに連ねていくことで、自分なりの落としどころが見えてくるのです。

本音が「言葉にする力」を高める

気兼ねなく自分の考えを形にしていくと、だんだん本音が出てきやすくなります。

頭の中身を出していると、書き言葉よりも話し言葉に近い文章になるはずです。
全てが理路整然とした言葉にはならないでしょう。
だからこそ、着飾らない本音がぽろりと出てくるのです。

それは思いがけず浮かんだものかもしれません。あるいは心の奥底に沈んでいたものがふと、顔を出したのかもしれません。

思いを表し続けていくと、ありふれた単語でなく、自分の心から生まれたオリジナルの言葉が増えていきます。

自分の考えを言葉にする力、いわゆる「言語化能力」は、noteを始めとした発信や日常の場面で役に立つはずです。

3つのジャーナリング方法

①書く

最もオーソドックスなのは、ノートに手書きで書く方法です。
ペンやノートは書き心地がよく、安価で気兼ねなく使えるものがおすすめです。

ノートで特におすすめなのが、協和紙工の「continue」シリーズです。

ダイソー、セリア、キャンドゥで販売されており、人気商品のためご存じの方も多いと思います。

特に「continue+」は紙質の滑りがよく、ハリ・コシがあって110円で買えるノートとは思えない品質。
個人的にはマルマンの「ニーモシネ」シリーズに近い感触です。

表紙のシンプルで落ち着いたカラーリングもセンスがよく、筆者も2冊目を使っています。

また、古賀史健さんの著書「さみしい夜にはペンを持て」もおすすめです。

小学校高学年~中学生から読める、やさしい文章で綴られた物語仕立ての名著です。
日記を書くよさや、言葉、文章の深め方まで書かれており、大人も学ぶことが多い内容が込められています。

具体的な書き方で迷う場合は、よろしければ弊マガジンの過去記事をご参照ください。

②音声入力

Appleからリリースされた「ジャーナル」機能では、音声入力で記録を残すことができます。

「ジャーナル」ではいくつか質問が用意されているほか、写真と連携して記録のヒントになるよう工夫されています。

調べた限り、ジャーナリングアプリでは音声の記録を残せるものがありません。
(ご存じでしたらコメント欄で教えてください)
書くよりも話すほうが気楽な方は、こちらで音声入力を試してみてはいかがでしょうか。

③ジャーナリングアプリ

日常生活に手放せないスマホで気軽に使えるのが、ジャーナリングアプリです。

さまざまなアプリがありますが、おすすめは「muute」です。

不揃いの円形をモチーフとした、有機的なデザインが特徴です。
センス光る色合いはカスタマイズ可能で、気分に合ったものを選べます。

ジャーナリングは自由形式、Q&A、感情からカテゴリ別に記録。
また、毎週、毎月ごとにAIが投稿をまとめた「インサイト」を送ってくれます。
自分で書くだけでなく、フィードバックが欲しい方には嬉しい機能です。

思いつくままつらつらと吐き出す場合はmuuteに入力し、じっくり取り組みたいときはノートに書くという具合に併用するのもよいです。

おわりに

今回はジャーナリングのメリットやおすすめの関連物、書くだけではない方法をお届けしました。

筆者は4年続けてきて、現在はmuuteをほぼ毎日、書きたいときだけノートを開きます。
始めた頃は毎日ノートにびっしり書いていましたが、頻度が減ったのはそれだけ溜まっていたものを吐き出し、内側の循環がよくなった証ととらえています。

頭の中に溜まったものを吐き出し、外側から取り入れることで新たな考えが浮かぶ。
ジャーナリングの真髄はこの繰り返し、「思考の深呼吸」なのだと思います。


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