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白饅頭日誌:11月29日「池袋暴走事故の被害者遺族叩きについての備忘録」

 本当に哀しいし残念なことだが、2019年に発生した「池袋暴走事故」の遺族が加害者となった飯塚幸三受刑者(禁錮5年)に対して起こした民事裁判で被告に1億4千万円の賠償を命じられた判決を受け、被害者遺族であり原告である松永拓也さんに心無い中傷なコメントが数多く寄せられているのだという。

車を暴走させた飯塚受刑者は旧通産省・工業技術院の元院長。事故後すぐに逮捕されなかったため、「上級国民への特別待遇だ」と不満の声が上がった。さらに、飯塚受刑者が暴走は「ブレーキの故障」が原因だと主張し、遺族や被害者に謝罪しなかったことから、非難の嵐が吹き荒れた。

その後、飯塚受刑者は過失運転致死傷罪に問われ、2021年に禁錮5年の実刑が確定した。ところが、前述の民事訴訟の判決が報じられるや、風向きは一変。翌28日には、暴力団を名乗る男から警視庁本部に「年のいった受刑者に金を払わせるのはおかしい。近いうちに松永を殺す」という匿名の脅迫電話があったのだ。さらに、松永さんにも絶え間なく中傷が届く。

「『うらやましい』『代わってほしい』というものから、『妻と娘が大金に変わったな』など、見るに堪えないものが多いです。私は真菜と莉子の命が返ってくるなら、お金なんて一銭もいりません。大金が支払われたとしても虚しい気持ちで、家族を失った心の隙間は埋まらない。これしか方法がないから賠償請求をしたんです」

NEWSポストセブン『【絶え間なく続く中傷】池袋暴走事故遺族が告白する“1.4億円賠償”の虚しさ「家族を失った心の隙間は埋まらない」』(2023年11月1日)より引用
https://www.news-postseven.com/archives/20231101_1916692.html
※太字は御田寺による

 これについて、同記事ではジャーナリストの井上トシユキ氏が、松永氏に誹謗中傷を繰り返す人びとの背景にある動機として「逆張り」「承認欲求」と指摘していた。

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 しかしながら、私は必ずしも動機はそうではないと思っている。

 背景にある動機として大きいものはすなわち――

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