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Ⅴ-#1 「やめられない」を疑うシートとは

1.「学校の働き方改革」のボトルネック

 現在の学校教育で誰もが共通して指摘する問題が多忙です。大学で教えていて身に染みて感じるのですが、長時間労働を嫌って教員になるのを躊躇する学生も少なからずいます。

 けれども一方で「学校の働き方改革」がなかなか進まないのには訳があります。それは学校の仕事に「全く無駄である」というものはなく、どんな活動も、それが続けられているのにはそれなりの理由があります。

 加えて次回説明するように、学校には、「いったん始めた活動をなかなかやめられない」という構造上の問題もあります。しかし働き方改革で勤務時間に制限が課されの一方で、仕事の中身が減らなければ学校が機能不全に陥ることは目に見えています。

 今必要なことは、学校の業務をキチンと見直していくことです。

2.「『やめられない』を疑うシート」とは

 そして、そんな時に使えるのが「やめられない」を疑うシートです。このシートは、校内研究や年度計画見直し、その他研修会等で活用してみたり、また個人で作成して頭を整理してみるのにも役立ちます。

 より具体的には「やめられない」を疑うシートを作成してみることで、次のような効果が期待できます。

①現在学校で行われている個々の活動の多面的な効果とコスト(主に時間と労力)について整理してみることができる。
②担当分掌の方などとの人間関係を気にすることなく、ゲーム感覚で代替案を考えてみることができる。
③たとえ課題があっても改善可能性の方が大きければ「やってみよう」という空気を作る助けになる。
④実施してみた改善対応案が妥当であったかどうか、継続的に評価して、見通しの妥当性を検証することができる。
⑤以上のような働きかけを繰り返すことによって、学校を持続的に変化し続ける組織へと進化させるきっかけが得られる。


次回以降、「やめられない」を疑うシートの発想と内容について解説していきます。

(次回に続く)