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行方不明のエンターキー。

エンターキーなのかリターンキーなのかわからなくなる。
まぁそれはいいとして、僕のかつての職場(コールセンター)での同僚、Kについて話したい。

Kは不思議な男で、見た目から年齢がわからない風体だった。
肌はつやつやしているが、毛髪は少し寂しい。たぶんドライヤーしてたら火傷しちゃうぐらい。

そんなKはストレス耐性が弱く、クレーム対応の最中に段々と変化していく。

まずは貧乏ゆすり。
そしてボールペンかちかち。
ここまではまぁ、誰でも少なからずやるし、許せるのだが、その次が酷かった。

Kの最終形態は強烈なタイピング。
ダダダダダダ!とタイピングし、ドッカーン!とエンターキーを押す。
押すというより、殴りつける。
机もPCも揺れる。備品だぞ。

ある日、同じように段階を追って変化していくKが最後に叩きつけたエンターキーが、飛んでいった。
それはもう見事な放物線を描き、ポーンと飛んだ。

直後、別室に呼ばれたのは言うまでもない。

今どこで何をしているのかわからないが、あの時のエンターキーは見つかったんだろうか。

そんなことを思いながら、僕は極力優しくタイピングする。
まぁ、ブラインドタッチが遅いだけなんだけれど。

Kはいい奴なんだけどな。
損してると思う。
いや、毛髪の量でじゃなくて。見た目じゃなくて。

上司にも部下にもしたくはないけど笑笑

連絡とる術もないけれど、元気にしてるだろうか。少し、気になる。

いただいたサポートは楽器関係、創作活動に使います。決してアルコールには使いません。でもアルコールが音楽や文章に必要と判断される場合はその一滴を力に変えます。よろしくお願いします。