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鰐が淵からでた観音様(下明島・門島)

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鰐が淵からでた観音様(下明島・門島)
やすおか村の民話より
 この祠に祀られている観音様には次のような話が伝えられています。
 むかし、時又の長石寺に行基作の願い事を叶えてくれるという観音様がありました。ある時、四人の泥棒がその観音様を盗み出しました。ところが、抱えて逃げようとすると、小さなお像は重くなり、お寺の方へ向くと軽くなり、又逃げようとすると重くなりました。泥棒達は恐ろしくなって、観音様を近くの天竜川へほうりこんで逃げました。
 その頃、明島村に信心深い地主がおりました。ある夜、偉いお坊様が夢の中にあらわれて、「鰐が淵の川底に沈んでいる観音様を救ってくれ。」と言いました。
 地主は不思議に思い、翌朝村人と一緒に鰐が淵へ行ってみると、水底が光っているのが見えました。早速引き上げて見ると、観世音菩薩でした。そこで、地主は山の中腹にある大岩の上に祠を建ててお祀りしました。
 地主は、ちょうどそのころ家を建て直したいと考えていました。すると今度は夢の中で観音様より「望むところの材木を与えよう。」とお告げがありました。
 その後、大雨が降るたびに大木が鰐が淵に流れ着くようになり、地主はその流木で家や蔵を建て、広く明島一帯を治めるようになりました。
 観音様を盗んだ四人の泥棒達はそれぞれに、火傷をしたり、木の下敷きになったり、天竜川で溺れたり、谷に落ちたりして死んでしまいました。
 しばらくして、時又の長石寺の仏像が盗まれたという噂が伝わってきました。地主が長石寺のお坊さんにこれまでのことを話すと、我が寺に伝わる行基菩薩作の観音様だと言う事でした。そこで、長石寺に残っていた台座と合わせてみると、ぴったり合ったので返す事になりました。お寺では、喜んでお礼を置いて行きました。地主と村人は、その礼金で小さな石の観音様を作り、お祀りしました。
 元々長石寺は、祈祷寺だったので明島の観音様も願い事が叶うと、大勢の人々が養蚕、雨ごいや豊作、厄除けなどの願掛けにやってきました。
 今でも、年の最初の午の日にあわせて門島区でお祭りしています。
(カンガルークラブ再話)
民話の里めぐり実行委員会

長石寺(Google Map)
松尾山長石寺「初午(はつうま)はだか祭り」(JAみなみ信州 ふるさと再発見)
時又のはだか祭りのお寺です。今も祭りはやっています。

行基上人(Wikipedia)は東大寺盧舎那仏像建立の時代ですよね。
南信州の歴史を感じます。

#民話 #観音様 #明島 #門島 #長石寺 #行基

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