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食材のポテンシャルを最大限に引き出す天ぷらワインバー【ワインと天婦羅 あら木】福岡警固本店

グルメな街として知られる福岡市。クオリティーを担保できないお店は容赦なく潰れていく激戦都市で、新たに感動するお店と出会えた。

行列ができるような人気店に疲れた
オトナ隠れ家のような場所でしっぽり飯をしたい
「今」美味しい旬の食材に出会いたい

そんな人たちにおススメしたい。

福岡中央区警固エリアにある「ワインと天婦羅 あら木」は名前のとおり、天ぷらをワインと一緒に楽しめるお店。

和食の代表選手ともいえる天ぷらを「洋」のワインと掛け合わせる斬新さにそそられてしまった。考えてみると「ワイン」という名詞がつくだけで何でもオシャレ度アップ効果がある気がする。

ワインと牛丼の店
ワインとラーメンの店
ワインとたこ焼きの店

(おお!なんだか一気にオシャレ感高まるー!)

ワインと天婦羅 あら木も名前だけなのかもと思いつつ、恐る恐る入店してみると、店内もオトナな雰囲気が漂っていた。6席だけのバーカウンター、揺らぐキャンドルの炎と落ち着いたBGMは、2軒目に訪れるバーそのもの。いわゆる「天ぷら屋」の雰囲気はゼロ!

序盤にメインメニューが出てくる店

メニューは13品の5千円コースのみ。天ぷらのコースといったら1万円以上のお店が多い中、5千円とは破格!

お料理だけであれば5千円だが、当店の真骨頂はワインと一緒に天ぷらを楽しむこと。そのため私たちは天ぷらに合わせてワインのペアリングをオーダーすることにした。ペアリングはワイン5杯で5千円。

ソムリエであり、ワイン講師という肩書きをもつ荒木剛さん(オーナー)がワインと料理の説明を丁寧にしてくれる。
非常におもしろいのは料理の出てくる順番。

1皿目にヌードル、2皿目に揚げ餅、3皿目にエビの天ぷら。いきなり炭水化物が登場し、序盤で天ぷら界の頂点ともいえるエビが現れた。

麺と山芋を絡めた前菜はほのかにシトラスの香りが漂う。
シャルドネの白ワインと一緒にいただいたエビはプチンと音がするほどプリップリ。

料理の順番には何か、荒木さんのこだわりポイントが隠れているような気がして、直接ご本人に尋ねてみた。

「中盤で登場してきそうな顔ぶれが序盤に出てきておもしろいと思いました!どうやって順番を考えているのですか?」

「すべてはワインにあわせているんです。ワインには軽いものから重いものへと飲み進めてほしい順番があります。そのワインにあわせると必然的に他店ではないような順番でお料理を出すことになるんですよね」

なるほど!食欲にまみれた私は料理にばかり気をとられていたが、あくまでワインが主役というわけか。

目の前の料理を口に運び、飲み込むと同時にワインを一口いただく。あら、不思議!!トマトの甘みが増したり、食材の香りをより強く感じたり。ワインは主役でありつつ、料理を引き立てる最強のサポーターでもあった!

出汁で味付けされたモッツアレラチーズとワインの相性は抜群!まさに和と洋のコラボ!
本日のNo.1は、しいたけにエビのすり身とアオサがのった天ぷら!山と磯の香りが詰まった1品は唸るほどのうまさ!

脇役がメインに!旬の食材を操る匠

荒木さんと他のお客さんの会話が耳に入ってきた。話の内容は最近の物価上昇について。以前と同じ価格での食材確保が難しくなっているそう。

「ウニなんて、少しの量買っても4000円ですよ!高くてメニューとして出せないです!高級食材を使わなくても旬の食材は十分美味しいですから、それでいいと思っています」

そう言って、新じゃがの天ぷらを差し出してくれた。

ほのかに香るバターのにおい。口に入れると、芋の甘さとホクホク食感に感動した。

・ハイクオリティの料理を常に同じコンディションで提供する料理人
・さまざまな食材を使い、それぞれの良さを引き出す料理人

どちらの料理人も尊敬すべき人たち。ただ、私個人的な意見で言うと後者のお店に行きたい。

理由はシンプルで、値段が変わらない安心感があり、新しい食材に出会えるから。私はウニなどの高級食材を食べて美味しさを堪能するより、脇役のような食材が「今」最高に美味しい瞬間に出会えたときの方が感動する。

まさにワインと天婦羅 あら木ではそんな出会いが溢れていた。

甘みの強い新玉ねぎの天ぷらは塩気の強い天つゆといただく。
30秒だけ熱湯に通したオクラはシャキシャキ食感。出汁で味付けされており、スナック感覚で箸が進む。
終盤に肉の登場!肉に添えられたニラのソースが絶品!ニラの強烈な臭いがしないのは、ニラを切る前に乾燥させる手間をかけているからなんだそう。
ようやく最後に肉とあわせて赤ワインがやってきた!赤ワインのどっしり感はあまりなく、スッキリ飲みやすい。
最後のシメはカレーパスタ!これまた斬新な一品。

なんでもないゴールデンウイークの1日が特別なものとなった。1万円(ワインのペアリング付き)でこの感動を味わえるのなら再訪の価値は大だ!

Cheers!



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