本物の教師になる方法と師になるためのノウハウ

この記事、若干のタイトル詐欺であることをまず初めに謝りたい。

そもそも私は教え子側であり、この記事に師を錬成するための調合レシピや教師になるためのルートが書いてあるわけではないのだ。

しかしこの出来事をnoteに書いて共有することで、目の前のあなたと新しい何か見つけることができるのではないかと思いこの記事を書く。

これは私の「教師観」を変えた一つの出来事である

私が通っていた小学校には学校側が企画する腕相撲大会というものがあった。
各クラスで選ばれた者同士が休み時間に体育館のステージ上で戦いあうというもので、当時小学校6年生であった私は何の間違いか順調にクラス内予選を勝ち抜いてしまい、それどころか決勝戦まで上り詰めてしまっていた。

決勝戦当日、
「なぜ僕はこんなところまで来てしまったんだろう」

という闇落ちした主人公っぽい台詞を吐き捨てながら、大会期間中ずっと腕相撲の練習相手になってくれていた担任の男の先生に「最後の練習試合」を申し込んだ。

無論今までの練習試合で勝ったことは一度もない。
そして勿論勝てるはずもなかった。

しかしまだ子供である自分にも本気でぶつかってくれていると理解していたからこそ私も毎度本気になることができ、練習試合に負けても本番の試合では自分を鼓舞することができていた。

今回も先生はやる気である。ただ私も負けるわけにはいかない。

しかしやはり先生は強かった。
大人との腕力の差を腕全体で感じる。
長時間試合が続き「そろそろ限界か、、」
そう思った瞬間私の腕はゆっくりと先生の腕を押していった。

勝った。
あの一度も勝てなかった先生に勝つことができたのだ。
嬉しい。
この後の試合も今なら勝てそうな気がする。
なんならもはや優勝した気分ですらある。

私が満面の笑みを浮かべていると先生は
「強くなったな。お前なら優勝できる。行ってこい。」
そう私に言った。

私は無邪気に喜びながら、こんな試合楽勝だと自信満々に意気揚々と決勝戦に挑んだ。

結果は優勝。見事学校一の腕相撲マスターになった。

だがこの話を大人になった今振り返ると、あることに気が付く。

決勝戦前の最後の先生との練習試合。
あれはきっとわざと負けてくれていたのだ。

考えればそうだ。今まで勝てる気配もなかったただの小6の子供がいきなり大の大人に腕相撲で勝てるようになるわけがない。

先生はこっちに悟られないようなとてもいい力の塩梅で「わざと」負けてくれていたのだ。

そうすることで私に自信を与えさらには「お前は大丈夫だ」と声をかけてくれたのだ。

私は当時からこの担任の先生が好きだったが、
あの優しさと強さと心の広さは当時の私には計り知れないほどとても大きなものであり、今も私の心の中で「師」として存在している。






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