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もう、ひとりにさせない


 
『あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていたときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからである。』

『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである。』

 このマタイ25章の聖句をいつかの宣教で聞いていた時、不意に遠い昔にあった小学6年生のキャンプでの出来事を思い出していた。

楽しいプログラムが終わった後、皆が親からもらった小銭を握りしめ売店に走りアイスクリームを食べていた時、藤原クンという子がひとり寂しくしていた。彼はお金をもっていなくて売店で買うことができないでいた。

この後、僕は急いで自分の母親を見つけ藤原クンのために100円を貰い、一緒にアイスクリームを食べた。

40年も前のキャンプの光景が、僕の中に大切な記憶として残っている。

誰れも、ひとりで寂しい思いをして欲しくない。

誰かが、あなたに伴っていて欲しい

僕があの日、藤原クンを見つけ、寄り添うことができたように

キャンプから帰った後、

「あの時の100円がどれだけうれしかったか」

無口な藤原クンがはしゃぎ喜ぶ姿を彼のお母さんが、僕の家まで伝えにきてくれた。

夕暮れ時の小さな借家の玄関が夕日に光っていて、小学6年の僕は、母親と並んで、自分達を誇らしく喜んだ。


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