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ただの「私」に何ができる

取り急ぎ専業主婦になった私だが、結婚しているからそんな呼称がくっつくだけで、要するに無職だ。

望んで専業主婦になるのはいい。家庭を心地よく整えて、美味しいご飯を作り、家族が機嫌よく、健康的に過ごせるように気を配る。専業主婦は本当に素敵な仕事だと思う。

だが私は晴天の霹靂(会社の状態は晴天とは程遠かったけど。嵐の落雷?)的状況で専業主婦に収まっただけで、こんな展開を望んでいたわけじゃなかった。

仕事は嫌いじゃない。だけど少し特殊な業種なので、間口は狭い。
大切な時間を捧げるのだから、共感できるサービスに関わりたい。
子どもがいるため、譲れない条件もある。そしてアラフォー。

働きたい気持ちはあるものの、再就職のハードルはとんでもなく高い。

一方で、お前に何ができるんだと言われたら何ができるんだろうと不安になる。
退職勧奨によってダダ下がりした自己肯定感はそう簡単に戻ってこない。
何しろ「辞めるのってどう?」と会社にお勧めされたのだ。
叶うことならば、春が来るまで巣穴でじっと眠っていたい気分。

時間が経つにつれて私は歳を取るし、スキルは衰える。そうなると年収も比例して下がる。当然だ。社会人として旬の状態をキープするためには泳ぎ続けなければならない。わかってる。

私の夫はとても優しいので、「状況は決して悪くないよ」と言う。子どもは「家にお母さんがいて嬉しい」と話し、ワーママだった私の罪悪感を無邪気に刺激する。彼らは専業主婦がいる家庭に心地よさすら感じ始めていて、私はこのままの方が家庭としては幸せなのかもと考え始めている。

確かにこのままでも家庭は存続できる。
だけど20年続けてきた仕事を取り上げられるみたいに辞めて、後悔もなく専業主婦として生きていくことが私にできるのだろうか?

私は今日も巣穴みたいに心地よいわが家のソファーの端っこで体育座り。
答えはまだ出そうにないけど、結構しんどいので、ほんと早く解放されたい。

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