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でもやっぱり重いカメラは辛いよ

カメラとレンズで2kgを超える、ミラーレス時代に屹立する大艦巨砲主義大権現PENTAX645Dを携えて、奥深き山中の滝を目指す。

なぜかこの記事がバズったわけだが、ミラーレス時代において時代という大量消費心理戦へ対抗する勢力に好まれたのか、はてまた懐かしき非ミニマリズム時代への憧憬か、もしくはiPhoneの洗練されたデザインと思想によりジョブズ的イデオロギーに染まった新消費者たちの珍奇なものを眺める視線だったのか・・・僕はウォズニアックの方が好き。


しかし、この破壊の鉄球(from ドラクエ)を担いでの山道というのは過酷である。
しかも、三脚必須である。このカメラ、鈍重なくせにシャッターショックがオイルショック並みにすごすぎて手持ちでの撮影は心理的安全性を欠きまくるのである。

だからこんなものまで必須。
本当は細身のこの三脚も耐荷重怪しいので縦付けにすべきなのだが、面倒なのである。※三脚穴が縦と横に一つずつある。
要するに、好条件(皆無)以外では基本的にこのセット必携なのである。
ミラーアップも駆使せよ。

でもでも、JPEGでこれもんですよ。
どうです?この一般人には至って不要な超高解像度、CCDセンサーの吐くギラギラでコッテコテなコントラスト、そして4000万画素とセンサーサイズの暴力。
このために足をガクガクプルプルいわせて山の中を歩いた甲斐があります。

三脚につけたこのカメラを担いで練り歩く様は、討ち入り後の赤穂浪士ですよ。
要するにこのカメラは吉良上野介の御首であり、山中ですれ違う人にやたら話しかけられるわけですよ。
「なんかの撮影ですか?」
「若いねえ、元気だねえ」
「・・・モンスターハンター?」

故に歩いているだけでHPがガンガン削られてしまうので、本当に撮りたい景色以外は面倒臭すぎて敢え無くスルーとなる。
これが前の記事にも書いた「重いカメラじゃないと撮れない写真」である。
シャッターチャンスというのは、概して「余裕」と比例する。
財布に余裕のある人間が、「今晩遅くなったし、外食にするか」「面倒だからタクシーにしよう」「転売ヤーから買うのは癪だが致し方あるまい」で見せる余裕と同意である。
カメラが小さければ小さいほど、操作が自動であればあるほど、シャッターチャンスはいくらでも転がり込む。
その逆であれば、持ち前の体力と気力と忍耐力の総和 VS 機材の総重量となる。

自分で選んだくせに怨念を念仏のように唱えながら重き愛機と共に山中を歩く。
そこら中に浮かんでいるシャッターチャンスは、「くそ」「マンネリ」「大衆的」「俗物」「インスタ映え用」「面倒くさい」「三脚立てられへん」などの言い訳とともに世界からスッと消える。成仏する。
それでも残ったシャッターチャンスは、撮りたいというよりは「撮らねば」という使命感、もはや宗教心に近い。

撮らねば・・・写真の神からの啓示により、私は暴君を背中から降ろし、三脚を不整地に立て、構図を鑑み、ミラーアップして、シャッターボタンを押す。
この崇高な儀式は、スティーブ・ジョブズという異世界の神に全否定された非文明的な邪教徒の野蛮な風習である。
だが、失われたこの神秘との会合でなければ見えない世界もあるのである。
浮かんでいるシャッターチャンスが、経済合理性により逆に統制管理されているという事実に気づかなければならないのだ。
シャッターチャンス=機会損失を恐れる現代人は、SNSやミニマリストの啓蒙によりコスパなるものへ盲目的に帰依している。
だがそこにあるのは、本当の幸福なのであろうか?
人間本来の幸福がそこにあっただろうか?


そんな現世での息苦しさに疑問を持つそこのあなた!
写真の神に帰依しましょう!
な〜に、ちょっとカメラやレンズを購入すればよいのです。
初心者の方は、国産カメラがおすすめですが、より神の声が聞きたいのであればLEICAやHasselbladなんて素晴らしいと思いますよ。

フィルムカメラなんてもっと徳が積めますよ。
古より儀式に使われていた銘機が、某マップカメラさんなんか覗けばずらっと並んでいます。ああ、神々しい〜

最初は何事も不安でしょう。
ですがお気になさらず、誰しもが最初は不安なのです。
安心してください。一台でもカメラを手にすれば、世界は広がり、写真の神への道が開かれます。
それに世間には先達の伝道師がたくさんおられます。
防湿庫を埋めてはまた防湿庫を買い足す信心深き伝道師、ソニーやLEICAといった似たデザインのカメラをこっそり新調しては何食わぬ顔で暮らす隠れ信仰者、フィルムの値上げにもめげず自家現像に勤しむ神学者、ニコじい・・・
カメラはきっとあなたを救ってくれます。

カメラや写真に関する動画を撮っています。
ちなみに私は信心深いことで有名です。
Foveon派に帰依しています。そろそろ新しい神が降臨されるらしいので楽しみでなりません。

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