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大学院受験と自己発見

受験を終えて


大学院受験が終わった今でも、たまに夜中に目が覚めると、受験勉強に追われていたあの頃を思い出す。
昨年の秋から本格的に受験勉強を始めたのだが、漠然とした不安の中、やみくもに勉強していたので、特にその頃の風景が印象に残っているのだろう。
毎晩、家族が寝静まったころから集中力が高まるのだが、その頃には窓の外には静かな夜が広がっており、部屋の中には参考図書の山が小さな灯りに照らされているという、見慣れた光景が今でも目に浮かぶ。
その中で、自分の将来や、本当にやりたいこと、どこへ向かおうとしているのか、ぼんやりと考えることがよくあった。

経営学やリーダーシップに関する厚い本は、ボクの机の上に常に置かれており、いつもそれらの本から人材開発や組織開発について深い理解を求めようとしていたと思う。それはまるで、自分がこれからどうありたいのかを探求するかのように。

研究計画書


そろそろ研究計画書に取り掛かろうと考えた頃、ボクは自社の課題を照らし合わせて考えようと思った。
それは、ボクにとって非常に重要で、自分らしいプロセスだったと思う。
なぜなら、学問とは現実から乖離したものではなく、現実に根差したものであるべきだと考えていたからだ。
大それたテーマの研究ではなく、自分の身近にある組織の課題をテーマにすることに決めていた。
先行研究の有無を確認し、人材開発や組織開発で使われる理論を用い、現実的に可能な研究を意識しながら、ボクは自分の研究の方向性を模索した。
幸いにも、それほど苦労せずに研究テーマを決定することができ、順調に計画書を完成させることもできた。恐らく、それは以前からいくつか自社の組織課題をピックアップして、どのように解決していけば良いかを考えていたからだろう。この点だけは自分で自分を褒めてあげたいと思う。

口頭試問


そして、年明けからは口頭試問の対策にも取り掛かった。研究計画書をもとに、自分自身で質問を考え、その回答を考えるという作業を繰り替えしていた。まるで自分の考えと対話をしているようで、時には苦しく、時には楽しいものだった。
夜中にベッドに入っても、頭の中はその問いと答えでいっぱいになって、結局寝られないことがよくあった。

受験の振り返り


今になって受験勉強を振り返ると、思いの外多くのことを学ぶことができたのではないかと思う。
最も良かったのは、目の前の参考書や論文、研究計画書の中にあるものではなく、自分自身の内側にある考えや想いを再認識したことだ。そういった意味で言うと、勉強というのは、ただ知識を得る行為以上のものなのかも知れない。
自分自身を深く知り、自分がどのような人間でありたいか、どのような未来を創りたいかを考えるプロセスが得られたのだから、合格しようがしまいが、この受験勉強を通して得るものがあった訳だ。

今回に限らず、あらためて世の中の”受験勉強”というものを考えると、受験というものにチャレンジする人たちにとっては、それはただの準備期間ではなく、自分と向き合い、自分の未来について深く考える良い機会になるのだろう。

窓の外に広がる静かな夜の中で、自分の内なる声に耳を傾け、自分の進むべき道を探すことができた今回の受験勉強はとても良い機会になったと感じている。
そして今、自分が目指す道の途中に立っているボクは、次の一歩を踏み出す準備をしているのだと思う。

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