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#1 付き合って8年の彼女を持つ30代前半契約社員

今後のキャリアプランや将来への不安

某音楽関連企業で契約社員として長年働いてきた30代前半の男性。
最近、僕の会社に契約社員として入社してくれた。

彼からの相談は、転職したてでまだ手探り状態なこと、自分がこの会社で活躍できるかまだ自信がないこと、今後のキャリアプランや将来もはっきり見えていないということだった。

また、現在実家住まいで通勤に2~3時間かかってるため、1時間圏内で一人暮らしも検討してるが、そもそも先が見えない中でそれを実行する余裕はないという感じだった。


彼にしかないコミュニケーション術

彼の働きぶりに僕は満足していたが、1つだけ気掛かりなことがあったので、素直に質問してみることにした。
「なんで30歳過ぎまでずっと契約社員のままだったの?正社員になるチャンスなかったの?」

「何度か正社員のお話はいただきました。でも、正社員になればたしかに給料が上がるんですけど、必ず転勤になってしまうんです。僕は配属された地域でその町の方々と信頼関係ができてましたし、その方々をサポートすることに働き甲斐を感じてたので、途中で見捨てて転勤してしまうようなことはできませんでした。まわりの人を本当に笑顔にしたくて。お金よりもそっちの方が大事だったので。」

なるほどー!
すごく納得がいった。彼の言葉に嘘はないと思った。まだ3カ月しか彼のことを知らないが、とにかくコミュ力が高く、老若男女誰とでも仲良くなれる人だ。町の方々との付き合いを何よりも優先してきたことは容易に想像ができた。


そして、彼が今手伝ってくれている事業も、一種の地方創生プロジェクトだ。町おこしをする上で、地域の方々としっかり関係を築いていくことが最も重要なのだが、彼は知ってか知らずか既に町のあちこちに友達を作っている。あまりにその能力が長けていて、喫茶店でたまたま隣になった人と仲良くなって一緒に旅行に行ってしまうほどだ。(ここまでいくと逆にこわいけどw)

この環境に彼は向いてるだろうと思っていたが、確信に変わった。それどころか、僕や他のメンバーには絶対真似できない彼のコミュニケーション術は、このプロジェクトに不可欠だとさえ思えた。


「ちなみにどこで一人暮らししたいの?」
「今の仕事でもだんだん町の方たちとの繋がりができてきたので、この町で一人暮らししようかとも考えたんですが。。。個人的なことで申し訳ないですが、実は8年付き合ってる彼女がいまして。この町に住むと彼女と会いづらくなってしまうので、できれば中間地点ぐらいに住めればと。」

「え、8年も!もしや結婚考えてる?」
「はい、すごく結婚したいんですが、今の状態ではまだ。。。」

なるほどー!
それは不安になるわけだ。この歳で8年も付き合ってれば、彼女はプロポーズされるのを今か今かと待ちわびてるはず。ご両親も年頃の娘さんを心配してることだろう。しかし彼としては将来が見えない内は無責任なことを言えない。そんな表情だった。(僕の勝手な妄想だがw)


ポジティブなチャレンジに変換する -前方斜め上に飛ばす-

「よし、わかった!じゃあ正社員として働いてください!」(簡単に心動かされてしまうのは経営者として致命的・・・)

そして彼女と会いやすい場所に一人暮らしをすればいい。

「ただ、僕らが取り組んでいるプロジェクトは始まったばかりの新規事業なので、まだまだこれから事業を成長させていかないといけない。正社員として一緒に頑張って、みんなで給料上げていこう!そしてしっかり貯金を始めて、結婚資金を貯めていけるといいんじゃない?」

先日、僕らの取り組みが町の広報誌で大きく取り上げられた際、彼は目をキラキラさせていた。県からも空き公共施設の利活用としてプレス発表していただけたし、周辺の自治体の長も数名視察しに来ることが決まっている。徐々にではあるが、確実に波が起き始めている。

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