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建築写真、真っ直ぐ撮る?斜めから撮る?

1.写真の構図

前回は建築写真に人を入れるか、入れないかについて書きました。
何を伝えるかによって人がいた方が良かったり、いない方が良かったりという違いがありますといったnoteでした。

今回は建築写真でよく見る構図の違いについて書いてみます。
そもそも構図とは、写真の中に被写体をどのようなバランスで配置するかで、そのバランスには美しく見える鉄板があります。
鉄板には三分割、二分割、日の丸、三角、シンメトリー、S字など10種類ぐらいはあります。
一般的な写真に関する構図は他の人が語り尽くしているし、わかりやすくまとめているので、リンク紹介で割愛します。
いくつか見た中で、東京カメラ部47選と言うかなり大規模なフォトコンテストでノミネート経験があるsaizouさんのブログがわかりやすかったです。

建築写真でもその鉄板を応用しながら、あおり補正をして垂直水平を保てば美しく見えるのですが、もっともっと単純に話せば建築写真の構図って大別すると2種類だと思います。
建築写真、真っ直ぐ撮るか

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斜めから撮るか

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2.真っ直ぐ撮る

真っ直ぐ撮った写真を好む人の傾向としては、設計事務所を始めとした設計にこだわりが強い方が多いです。
真っ直ぐ撮った写真は静的なイメージが強く、落ち着いた雰囲気に見えますが、設計にこだわった人がこの写真を好む理由は、空間構成が説明しやすいからと考えられます。
なぜならパースを効かせないので、ものの位置関係や大きさが把握しやすいからです。
例えばこの写真。

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キッチンの後ろに階段があって、階段に沿って天井は吹抜けで斜めに仕上がっていて、水に濡れるキッチンはクッションフロアーでリビングダイニングは無垢材と床の仕上げが切り替えられていて...
といった感じで、空間構成がとても説明しやすい。
一言で表すと、「理系的で説明的な写真」と言うのが真っ直ぐ撮る写真の特徴です。
だから設計にこだわりが強い方は、そのこだわりについて説明したいので、このような写真があると喜ばれるわけです。

3.斜めから撮る

では次に斜めから撮るとどんなイメージになるか。
斜めから撮ると遠近感のあるパースが効いた写真になり、広さ開放感を誇張表現することができます。
この写真を好むのは、住宅の広告宣伝利用を考えている方に多いです。
「20帖の広々、開放的なLDK」なんてフレーズと共にパースの効いた写真を利用すれば、お客さんにはそのまま広々としたイメージが伝わりやすいでしょう。
こう書くと広告宣伝向きのいやらしい構図どりのように伝わってしまい語弊が生まれそうですね(笑)
パースの効いた写真のもう一つのメリットは、全体的な雰囲気やイメージを伝える力が強いということです。
先ほど真っ直ぐ撮る事例として紹介した住まいの同じ空間を斜めから撮ってみた写真がこちら。

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真っ直ぐ撮ったものは構成をわかりやすく説明できるものでしたが、その構成をすることでどんな雰囲気の空間ができたかは、パッと見でこの構図どりの方がわかりやすいと思います。
「階段に沿って天井が吹き抜けていで斜めに仕上がっていて...」という構成でどうなったかというと、「1階と2階が立体的に繋がって、開放感や広がりの感じられる心地良いLDKになった」ということです。
立体感、開放感、広がり、心地良いと言った感情を動かすような情報を伝えるには、このように斜めから撮った写真が向いています。
こちらも一言で表すと、「文系的で感情的な写真」と言うのが斜めから撮る写真の特徴です。

4.まとめ

真っ直ぐ撮る:理系的で説明的な写真
斜めから撮る:文系的で感情的な写真
上記の通り、建築写真で大別される2種類の構図はこのような特徴があります。
人を入れる、入れないの話同様、誰に何を伝えるかによって上手く使い分けることが重要です。
それぞれの特徴を理解して、写真を撮ったり、お客さんに提案する資料に使ったりしてみてください。
また、建築写真のこんなことが知りたいというご意見あれば教えて下さい。
解説や説明できることであればお答えします。

私の撮影実績は、ポートフォリオサイトからご覧いただけます。


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