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世界のカレー大辞典インド編①

**1. 北インドのカレー** 北インドのカレーは、スパイスの栽培や円筒型の土窯タンドールの遺跡などから、インダス文明時代からカレーが存在したことが見てとれます。これは、ムガール帝国の侵略などといったイスラム文化圏の影響が大きいと言われており、ムガール帝国の宮廷料理として、中央アジアやペルシャの食文化が持ち込まれました。 これらの宮廷料理の影響を受けて、レストランではナンを主食とし、肉類とカシューナッツなどのナッツ類や生クリームなどの乳製品のペーストを用いる、濃厚でまろやかなカレー料理が多く、スパイスにはガラムマサラが使われるのが特徴です。 日本で見られるインド料理店の多くが北インドのスタイルです。但し、日本にある北インド料理店の多くは、ネパール人が経営し、パキスタンのクエッタやペシャワールなどで食べられている”大きくてふっくらとしたナン”が提供されています。一時期の日本のインド料理店では、大きなナンを競って提供していましたが、この方が日本人受けするからと考えられます。実際の北インドのナンは”丸くてカリッとしている小ぶり”なものです。 一方、庶民の家庭料理は菜食料理が主流です。そして、タンドールを持たない一般家庭の多くでは、フライパンで焼けるチャパテを始めとするローティが食されています。 また、ヒンズー教徒が多いことから牛肉は料理に使われません。