見出し画像

CFGの野望(3/3)

たまたまCFGの戦略についての論文?を見つけました。1年以上前に発表されたものなので、すでに読んだ人もいるかもしれません。頑張って英語を読んだので、自分なりにざっくりまとめてみました。直訳と感想が入り混じっています。
訳には全く自信がないし原文はもっと詳細に書いてあるので、これは感想文だと思ってください。


パート3/3の要旨

経営コンサルタント目線でのCFGの評価です。

スクリーンショット 2020-09-08 23.16.07

・近いうちにこれまでの投資の成果がでる
・CFGは存続に必要な企業価値を確立した
・CFGはまだ投資フェーズであり、各クラブの買収の成否は未確定
 今後数年で見極めなくてはならない。
・クラブ買収は、商業目的とスポーツ目的の2パターンがある
 商業的な成功のためには、その国の大都市に位置していなくてはならない
・CFGはグループシナジーを十分に活用していない
・パイオニアとしてCFGが今後どのような方向に進むのか興味深い

客観的な目線では、"buy and sell" model なんて恐ろしい発想もありですか。今後数年のうちに見極めろなんて言ってます。(ガクブル)


CFGの現在位置

経営コンサルのドライな分析手法。目標はもちろん規模が大きくなり、更なる成長もある ”Summer”エリアにできるだけ長期間いること。
CFGは成長の勢いがあり当初は ”Spring”エリアにいたけれど、買収したクラブが十分な成長力を発揮できておらず、”Summer”に到達する前に ”Winter”エリアに落ちてしまっている。あと数クラブ買収して、もう少し規模を拡大すれば ”Autumn”エリアには行けそう。

スクリーンショット 2020-09-09 0.32.57


ヨーロッパの5大リーグで商業的に成功しているクラブは、人口の多い首都またはそれに準ずる大都市にある。例外は3クラブだけ。
(マンチェスターC、マンチェスターU、ユベントス)
Jリーグのチームを買収した企業が、名前に“東京”と付けたがるのもこの辺が理由なのだろう。

スクリーンショット 2020-09-09 0.49.03


CFGのクラブ買収は、このセオリーを意識していると思われる。
マリノスは ”商業的”な側面で買収されたグループに分類されている。

スクリーンショット 2020-09-09 0.54.54

”スポーツ面”の理由で買収されたのは 2クラブ。ジローナとウルグアイのアトレチコトルケ。
ジローナは、本店で採用する前の選手をヨーロッパサッカーに慣れさせるために使う。グアルディオラの弟がオーナーの1人である。
アトレチコトルケは、南米のタレントを集めるために使う。


マリノスの位置付け

ここからがマリサポにとっての本題。(妄想多めです)

スクリーンショット 2020-09-09 1.04.25

横浜F.マリノスは、日本で2番目に大きい都市にある。経済的にも重要な地域。
買収により、CFGは日産のような地元企業にアクセスすることができる。
日産はチャンピオンズリーグのスポンサーに興味を示している。

この分析の執筆者は、マリノスと日産の関係までは知らないのかもしれない。でも日本は経済的には大国ですからね。経済ではイギリスよりもでかい。
日産だけでなく、ヨーロッパやアメリカで広告を出したい日系グローバル企業は数多くあるはずで、そこはCFGのビジネスにとっては大きな魅力でしょう。なのでマリノスの成績が多少悪くても、それだけでは日本市場から撤退する理由にはならないと思います。
普通はD通さんとかに仲介してもらうような大口スポンサーを直接ゲット!?(業界のことはよく知らんけど)

つまり、CFG内でのマリノスの存在価値は、日産以外の日系グローバル企業をスポンサーとして獲得できるかにかかっているのかもしれない。
MELCO(日系ではないけど)との契約は重要な1歩になりますね。将来横浜にIRができた暁には、その集客のためにアメリカやヨーロッパで広告を出す必要があり、そうとなったらMELCO様は本店とかNYC FCのユニフォームやスタジアムに露出するでしょう。

そうすると世界のサッカー好きの富裕層が横浜にやってきて、おっ地元のサッカーチームもあるやん、ちょっと試合を見ていくか、という流れになる。記念にユニフォームもタオルマフラーも買う。これはやっぱりIRの中にスタジアム作らなきゃダメなんじゃないですかねええ。例えば仕切りがついた世界初のCovid19対応スタジアムなんてどうだろう。(ここまで妄想でした)

逆に、HAYSやCISCOのような海外のスポンサーが日本で広告を出したいパターンもありますね。インバウンドもD通さん抜きでいけるんじゃないでしょうか。


CFGがこれからやるべきこと

下図は、企業のポートフォリオを分析するために使うもの。CFGの中のどのクラブに重点的に投資すべきか、という判断の参考とする。

スクリーンショット 2020-09-09 1.51.32

古い定義では、"Cash cows"  40-50%、"Stars" 30%、"Dogs" 10-20%、"?"  10%、というバランスが良いとされてきた。
しかし現代のビジネスでは、"?" エリアの割合をもっと増やしてよりリスクテイクしていかなくてはならないと考えられている。そして効率よく "Stars"を産み出すことが求められる。

本店ですらまだ”?”エリアにいる状態。マリノスはこれから”Stars”になって稼ぎまくるのか、 ”Dogs”に落ちてCFGから分離されてしまうか。
CFGにはまだ "Stars"がない。経営コンサル目線では、まだ成功したとは言い切れないフェーズなのでしょう。いずれ "Dogs"と判断したクラブの整理も必要になると書かれています。

マリノスが生き残るために、やはり今年も圧倒的なパワーでJリーグにインパクトを残したい。ACLで活躍してアジアでファン層を拡大することも大事になる。
こんなにカッコイイのだから、絶対ポテンシャルはありますよ。by マリサポ


最後はこの分析の執筆者のサジェスチョン。せっかくスポーツ界では革新的な世界戦略をとっているのにも関わらず、そのメリットであるシナジー効果を十分に活用できていない、”もっとやれる”というのが彼の意見です。

画像7

シナジーが期待できる要素のうち、以下の3つにプライオリティを置くべき。

スクリーンショット 2020-09-09 16.56.43

・グローバルブランド
CFGというグローバルブランドを地域に密着させることで、新たなスポンサーを獲得できる(日本進出時の日産のような)
・ファンの多重化
トータル人数は同じでも、各クラブのファンがグループの他クラブのファンになる
(実際、メルボルンのファンはMLSではNYC FCを応援している)
・グループスポンサー
グループ全体の規模の大きさを活かしてスポンサーを獲得する
(Pumaのような契約)

スポンサーの獲得が重要と言われてしまうと元も子もない。ですよねー的な。
ファンの多重化は、サポーター目線では微妙な感じですね。他国のサッカーリーグで、特に応援するチームがない場合は CFGのチームを中心に見ますけどね。お金を落とすかどうかは別問題かな。

マリノス的にはやはり日産と同等以上のスポンサーを日本で獲得することがポイントですね。これはCFG Japanの皆様に頑張って頂くしかない。よろしくお願いします!!マリノスの未来はあなた方にかかっている。

その他の要素では(マリノスは)もう十分に恩恵を受けてます。

スクリーンショット 2020-09-09 17.26.33

・タレント
世界中から選手を集めることができる
・ノウハウ
移籍などのノウハウを共有することで買収クラブの成長を促進
・ブランド
CFGの傘に入ることにより財務的にも安定する
・シーズン
各国のスケジュールが違うため、年間を通じて収入が得られる

もしも日産の経営がヨレてもCFGが引き取ってくれる(はず)という安心感は大きい。CFGがいなかったら、今の状況はかなりピンチですよ。


CFGの未来

画像10

CFGの将来には3つの道がある。
Scale builder
現状路線で更に規模を拡大する。もっと利益を意識する必要あり。
Innovative model
育てたクラブを売ることで収益をあげる。
Full ahead
他競技に拡大する。バスケ、アメフト、女子スポーツなど。


CFGの中にいるソリアーノ氏やチキべギリスタイン氏は、執筆者の経営コンサル氏ほどドライではなく、あくまでフットボール界で夢を追っていると信じたい。
これは2019年5月に発表された論文なので、このあとマリノスが優勝することは書いてない。スポーツ面ではこのモデルは明らかに成功したのですよ。なんとか商業面でも成功してもらいたいなあ。

(おわり)


Tukasz Stojecki 氏

I work professionally as a consultant in the strategic consulting company A.T. Kearney, where we provide services for global companies from various sectors of the economy by dealing with strategic and operational issues, such as: transformation of companies, strategies for new market entry, product strategies, M&A, cost optimization, etc.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?